大型床反力計による正常歩行の研究-特に坂道と階段歩行について

木製の斜面台と踏台を大型床反力計に固定し, 坂道と階段の歩行時の床反力を測定した. 垂直分力Fzは坂道と階段が互いに似たパターンで, 上りは後峰が前峰よりも, 下りは前峰が後峰より高い. 体重心の上下動が大きいからである. 前後分力Fxは坂道では上りの制動力の山が低く, 駆動力の谷が深い. 下りは逆のパターンとなる. 重力の斜面分力が前後方向に正または負に働いているからである. 階段の上りは滑らかな二相性を呈し, 下りは駆動力の谷が上りより深い. 体重心を強く押し出すためと考える. 側方分力Fyは両歩行形態とも平地より変位が大きいが, step-widthに比してstep-lengthが相対的...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 26; no. 2; pp. 105 - 111
Main Authors 野口哲夫, 長尾竜郎, 山本敏泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.03.1989
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ISSN0034-351X

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Summary:木製の斜面台と踏台を大型床反力計に固定し, 坂道と階段の歩行時の床反力を測定した. 垂直分力Fzは坂道と階段が互いに似たパターンで, 上りは後峰が前峰よりも, 下りは前峰が後峰より高い. 体重心の上下動が大きいからである. 前後分力Fxは坂道では上りの制動力の山が低く, 駆動力の谷が深い. 下りは逆のパターンとなる. 重力の斜面分力が前後方向に正または負に働いているからである. 階段の上りは滑らかな二相性を呈し, 下りは駆動力の谷が上りより深い. 体重心を強く押し出すためと考える. 側方分力Fyは両歩行形態とも平地より変位が大きいが, step-widthに比してstep-lengthが相対的に短く, 蹴力の向きがやや側方になるためと考える.
ISSN:0034-351X