アポトーシス研究における電気泳動法の活用 -DNAラダー検出法とアポトーシス関連小分子蛋白検出法

アポトーシス(apoptosis)は, 「枯れ葉が散る」ように細胞が計画的に跡形もなく死ぬ現象であり1), 多細胞生物における個体の発生分化成長老化の過程で重要な機序の一つと考えられている. その異常が, 奇形, 癌, 自己免疫不全, 神経変性疾患等の原因と考えられている2). ヒトの生体防御機構の成熟過程にアポトーシスが重要な働きをしていることが明らかになり, とくに, 免疫担当細胞の一つであるT細胞が胸腺において機能分化してゆく過程でアポトーシスを起こす機序については, 分子レベルでの解明が進みつつある3). 一方, 生体のストレス応答の一つとしてアポトーシスが注目されている. 現在, ス...

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Published in生物物理化学 Vol. 42; no. 1; pp. 1 - 11
Main Authors 中村和行, 藤本正憲, 長坂祐二, 田中経彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 15.02.1998
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Summary:アポトーシス(apoptosis)は, 「枯れ葉が散る」ように細胞が計画的に跡形もなく死ぬ現象であり1), 多細胞生物における個体の発生分化成長老化の過程で重要な機序の一つと考えられている. その異常が, 奇形, 癌, 自己免疫不全, 神経変性疾患等の原因と考えられている2). ヒトの生体防御機構の成熟過程にアポトーシスが重要な働きをしていることが明らかになり, とくに, 免疫担当細胞の一つであるT細胞が胸腺において機能分化してゆく過程でアポトーシスを起こす機序については, 分子レベルでの解明が進みつつある3). 一方, 生体のストレス応答の一つとしてアポトーシスが注目されている. 現在, ストレス応答機序については, ストレスシグナルがどのように細胞内情報伝達機構を介して核に伝わりアポトーシスが起こるのかを明らかにするために研究が進められているが4), 多様な細胞内情報伝達機構に連座する小分子蛋白については不明な点が多い.
ISSN:0031-9082