小腸転移をきたした脾臓原発悪性リンパ腫の1例

脾臓に原発する悪性リンパ腫が小腸に転移し, 開腹手術および化学療法により軽快した症例を経験したので報告する. 症例は61歳の女性. 体重減少, 食欲不振で近医を受診し, 左上腹部の腫瘤を指摘された. 腹部エコーにて脾臓に腫瘤が認められたため精査目的で当科に入院. 腹部CTにて脾臓全体に低吸収域の腫瘤が存在し, LDHの著明な上昇, ガリウムシンチにて脾臓への集積がみられたことより脾臓原発の悪性リンパ腫と診断し, 開腹術を施行した. 開腹所見では, 脾臓の腫瘤とともに空腸に4か所の転移を認めた. 脾臓摘出術, 膵尾部切除術, 空腸部分切除術を施行した. 術後CHOP (cyclophospham...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 50 - 54
Main Authors 高, 賢樹, 藤岡, 進, 加藤, 健司, 待木, 雄一, 相川, 潔, 橋本, 瑞生, 横山, 幸治, 石川, 玲, 菅原, 元, 吉田, カツ江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1999
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Summary:脾臓に原発する悪性リンパ腫が小腸に転移し, 開腹手術および化学療法により軽快した症例を経験したので報告する. 症例は61歳の女性. 体重減少, 食欲不振で近医を受診し, 左上腹部の腫瘤を指摘された. 腹部エコーにて脾臓に腫瘤が認められたため精査目的で当科に入院. 腹部CTにて脾臓全体に低吸収域の腫瘤が存在し, LDHの著明な上昇, ガリウムシンチにて脾臓への集積がみられたことより脾臓原発の悪性リンパ腫と診断し, 開腹術を施行した. 開腹所見では, 脾臓の腫瘤とともに空腸に4か所の転移を認めた. 脾臓摘出術, 膵尾部切除術, 空腸部分切除術を施行した. 術後CHOP (cyclophosphamide, adriamycin, vincristine, prednisolone) 療法で治療を行い, 経過は順調である. 術後1年8か月の現在まで再発の徴候はない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.32.50