脳性麻痺による摂食・嚥下障害の治療的介入:脳血管障害との比較
本論文では脳性麻痺による嚥下障害を脳卒中による嚥下障害と比較し, 臨床特徴, 治療的介入方法を論じる. 両者は上位運動ニューロン損傷として共通した徴候を示す. しかし脳性麻痺の嚥下障害は次の3つの点で成人の嚥下障害と異なる. (1)原因となる神経損傷は多岐にわたり主に4つの下位グループに分けられる. (2)症状は神経学的な損傷と異常発達の相互作用により形成される. 姿勢パターン, 口腔領域の反射や感覚の障害は複雑で重篤である. (3)呼吸器系, 消化器系の合併症が多い. 治療的介入は, 子どもに特有の発達的な, また環境的な要因に配慮し計画されねばならない. 重要な点は以下の通りである. (1...
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Published in | コミュニケーション障害学 Vol. 24; no. 2; pp. 138 - 145 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本コミュニケーション障害学会
30.08.2007
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ISSN | 1347-8451 |
Cover
Summary: | 本論文では脳性麻痺による嚥下障害を脳卒中による嚥下障害と比較し, 臨床特徴, 治療的介入方法を論じる. 両者は上位運動ニューロン損傷として共通した徴候を示す. しかし脳性麻痺の嚥下障害は次の3つの点で成人の嚥下障害と異なる. (1)原因となる神経損傷は多岐にわたり主に4つの下位グループに分けられる. (2)症状は神経学的な損傷と異常発達の相互作用により形成される. 姿勢パターン, 口腔領域の反射や感覚の障害は複雑で重篤である. (3)呼吸器系, 消化器系の合併症が多い. 治療的介入は, 子どもに特有の発達的な, また環境的な要因に配慮し計画されねばならない. 重要な点は以下の通りである. (1)チームアプローチの重要性, 特に小児科医との連携. (2)発達的な要因を考慮に入れ, 介入の目標, 方法を長期的な視野から決定すること. (3)異常性に対しての適切な治療. (4)口頭指示に従えないため, 徒手的な操作, 用具, 食材により目的の運動を誘導すること. |
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ISSN: | 1347-8451 |