鉄過剰負荷ならびにX線全身照射が低タンパク質食摂取マウスの骨髄と肝臓の酸化障害に及ぼす影響

「緒言」近年, 多様なサプリメントが容易に利用できるようになっているが, そのような状況では特定成分の過剰摂取による安全性の問題が危惧される. 鉄は日本人が状況によっては不足する可能性がある栄養成分であり1), 補給・補完を目的とした栄養機能食品の成分としても認められている2). 一方, 鉄は酸化促進因子であることが知られており3, 4), その過剰な蓄積は酸化損傷を増強する可能性がある. 例えば, C型慢性肝炎患者では肝臓に鉄が過剰に蓄積し, 鉄を多く含むいわゆる健康食品やサプリメントを摂取した場合には, さらに病状が悪化する可能性が示されている5). 低タンパク状態では肝臓鉄が増加するが,...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 66; no. 5; pp. 241 - 245
Main Authors 遠藤香, 村上昌弘, 木村典代, 梅垣敬三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養改善学会 01.10.2008
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Summary:「緒言」近年, 多様なサプリメントが容易に利用できるようになっているが, そのような状況では特定成分の過剰摂取による安全性の問題が危惧される. 鉄は日本人が状況によっては不足する可能性がある栄養成分であり1), 補給・補完を目的とした栄養機能食品の成分としても認められている2). 一方, 鉄は酸化促進因子であることが知られており3, 4), その過剰な蓄積は酸化損傷を増強する可能性がある. 例えば, C型慢性肝炎患者では肝臓に鉄が過剰に蓄積し, 鉄を多く含むいわゆる健康食品やサプリメントを摂取した場合には, さらに病状が悪化する可能性が示されている5). 低タンパク状態では肝臓鉄が増加するが, そのメカニズムとしては, 鉄の輸送に関わるトランスフェリン合成の低下に伴い, 肝臓から血液中への鉄輸送が低下することが関連していると推定されている6). 最近, 日本人女性に貧血が増加しているが7, 8), やせ志向による食事量の減少は, 鉄摂取量不足とともにタンパク質の摂取不足につながる可能性がある9).
ISSN:0021-5147