救急救命士のアナフィラキシー対応能力向上に向けた課題分析と改善策 アドレナリン自己注射薬の適正使用に着目して

背景:アナフィラキシーは迅速な対応が求められ,アドレナリン投与の遅延は致命的となり得るが,救急救命士の認識や実務における対応の経験値については十分に明らかになっていない。目的:救急救命士がアドレナリン自己注射薬(AAIs)を適切に使用できる環境整備に向け,課題を抽出し改善策を提案することを目的とした。方法:2021年,愛知県内の消防機関で勤務する救急救命士1,632名を対象にWebアンケートを実施した。結果:853名が回答し,81.2%がアナフィラキシー対応経験を有していたが,AAIsの使用経験は4.5%と低率であった。とくに,皮膚症状を伴わないアナフィラキシー判断の困難さ,付属品を伴わないト...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 28; no. 4; pp. 639 - 647
Main Authors 伊藤 友弥, 井上 保介, 石川 祥一朗, 池田 樹央, 木下 拓也, 服部 友紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 31.08.2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.28.639

Cover

Loading…
More Information
Summary:背景:アナフィラキシーは迅速な対応が求められ,アドレナリン投与の遅延は致命的となり得るが,救急救命士の認識や実務における対応の経験値については十分に明らかになっていない。目的:救急救命士がアドレナリン自己注射薬(AAIs)を適切に使用できる環境整備に向け,課題を抽出し改善策を提案することを目的とした。方法:2021年,愛知県内の消防機関で勤務する救急救命士1,632名を対象にWebアンケートを実施した。結果:853名が回答し,81.2%がアナフィラキシー対応経験を有していたが,AAIsの使用経験は4.5%と低率であった。とくに,皮膚症状を伴わないアナフィラキシー判断の困難さ,付属品を伴わないトレーナーのみでの限定された注射経験,AAIsに対する認識不足などの課題が明らかとなった。結論:教育内容の充実や実践的な訓練環境の整備が急務であることが示唆された。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.28.639