カラードプラ法超音波検査により鼠径ヘルニアと鑑別し得た子宮円索静脈瘤の2例

子宮円索静脈瘤は妊娠に伴い子宮円索に沿って静脈瘤を形成し,通常は分娩後に自然消退する病態である。臨床所見が鼠径ヘルニアと類似するため誤診された例も報告されている。今回,超音波検査で子宮円索静脈瘤と診断し得た2例を経験したため報告する。症例1は30歳台,女性。左鼠径部の疼痛と腫脹を認め,鼠径ヘルニアが疑われ妊娠25週に紹介された。立位で野球ボール大の腫瘤を触知し,超音波検査で隔壁様構造を伴う低エコー卵形腫瘤を認めた。カラードプラ法で豊富な血流を認め,子宮円索静脈瘤と診断した。症例2は30歳台,女性。妊娠16週に右鼠径部痛と腫脹を主訴に紹介受診した。立位で鶏卵大の腫瘤を触知し,カラードプラ法超音波...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; pp. 527 - 530
Main Authors 亀井 尚, 海野 倫明, 西條 文人, 大沼 忍, 相澤 卓, 岡本 浩二, 山村 明寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2025
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.45.527

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Summary:子宮円索静脈瘤は妊娠に伴い子宮円索に沿って静脈瘤を形成し,通常は分娩後に自然消退する病態である。臨床所見が鼠径ヘルニアと類似するため誤診された例も報告されている。今回,超音波検査で子宮円索静脈瘤と診断し得た2例を経験したため報告する。症例1は30歳台,女性。左鼠径部の疼痛と腫脹を認め,鼠径ヘルニアが疑われ妊娠25週に紹介された。立位で野球ボール大の腫瘤を触知し,超音波検査で隔壁様構造を伴う低エコー卵形腫瘤を認めた。カラードプラ法で豊富な血流を認め,子宮円索静脈瘤と診断した。症例2は30歳台,女性。妊娠16週に右鼠径部痛と腫脹を主訴に紹介受診した。立位で鶏卵大の腫瘤を触知し,カラードプラ法超音波検査で豊富な血流を認めて子宮円索静脈瘤と診断した。2例とも経過観察とし,出産後に症状は軽快した。妊娠中の鼠径部腫脹では子宮円索静脈瘤も鑑別に考慮し,カラードプラ法超音波検査を用いて慎重に評価すべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.45.527