日本総合健診医学会 第53回大会・特別講演1 認知症の早期発見、早期治療、予防~新たな健診のテーマに

持続可能な地域社会を維持するためには認知症予防は不可欠である。予防は、一次予防、二次予防、三次予防を切れ目なく行うことが求められる。認知症予防を実践する際には科学的エビデンスのある方法を用いることを推奨する。認知症予防の最も重要な対象者は軽度認知障害(MCI)であり早期発見して予防介入を行うべきである。アルツハイマー型認知症は記憶障害より先行して嗅覚障害が出現するので、早期発見の方法として嗅覚スクリーニングキットの活用が望まれる。早期発見した嗅覚異常へのアプローチ法としてアロマセラピーが推奨される。 抗アミロイドβ抗体薬であるレケンビⓇとケサンラⓇが処方できるようになり、認知症治療も新たなステ...

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Published in総合健診 Vol. 52; no. 3; pp. 480 - 485
Main Author 浦上 克哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.05.2025
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.52.480

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Summary:持続可能な地域社会を維持するためには認知症予防は不可欠である。予防は、一次予防、二次予防、三次予防を切れ目なく行うことが求められる。認知症予防を実践する際には科学的エビデンスのある方法を用いることを推奨する。認知症予防の最も重要な対象者は軽度認知障害(MCI)であり早期発見して予防介入を行うべきである。アルツハイマー型認知症は記憶障害より先行して嗅覚障害が出現するので、早期発見の方法として嗅覚スクリーニングキットの活用が望まれる。早期発見した嗅覚異常へのアプローチ法としてアロマセラピーが推奨される。 抗アミロイドβ抗体薬であるレケンビⓇとケサンラⓇが処方できるようになり、認知症治療も新たなステージに入った。これまで治療対象となっていなかったMCIへの早期診断が求められることとなる。抗アミロイドβ抗体薬による治療対象者に適切に薬剤を投与し、一方投与対象とならなかった方へは認知症予防の適切なアドバイスを届けることが求められる。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.52.480