胆管ステント逸脱による機械的腸閉塞をきたした1例

症例は72歳,男性。膵頭部癌に対して,胆管メタリックステント留置後であり当院消化器内科にステント管理および化学療法のため通院中であった。食欲不振と微熱を主訴に外来を受診した。CTで胆管ステントの脱落を認めたが腸閉塞および穿孔所見を認めず自然排出を期待して抗生剤投与のうえで内科で入院した。入院3日目に腹痛症状をきたし再検したCTで逸脱ステントを起点とする腸閉塞の診断となった。翌日,ステントの移動なく腸閉塞所見の悪化を認めたため,手術によるステント摘出の方針とした。逸脱ステントを摘出し,腸管の減圧を行った。胆管ステントの逸脱は比較的まれであるが,腸閉塞や腸管穿孔といった重大な合併症を引き起こすこと...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; pp. 539 - 542
Main Authors 藤林 勢世, 佐藤 悠太, 鷹尾 千佳, 松本 圭太, 三井 範基, 深田 真宏, 河原 樹, 畑中 勇治, 木山 茂, 松橋 延壽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2025
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.45.539

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Summary:症例は72歳,男性。膵頭部癌に対して,胆管メタリックステント留置後であり当院消化器内科にステント管理および化学療法のため通院中であった。食欲不振と微熱を主訴に外来を受診した。CTで胆管ステントの脱落を認めたが腸閉塞および穿孔所見を認めず自然排出を期待して抗生剤投与のうえで内科で入院した。入院3日目に腹痛症状をきたし再検したCTで逸脱ステントを起点とする腸閉塞の診断となった。翌日,ステントの移動なく腸閉塞所見の悪化を認めたため,手術によるステント摘出の方針とした。逸脱ステントを摘出し,腸管の減圧を行った。胆管ステントの逸脱は比較的まれであるが,腸閉塞や腸管穿孔といった重大な合併症を引き起こすことがある。胆管ステントが逸脱した際には手術を考慮した経過観察を行い,腸閉塞を認めた際は自然排出が期待できない可能性が高いため,内視鏡的摘出が困難な場合は,可及的な摘出術を検討する必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.45.539