津波被災想定地域における地域生活像の事前把握手法に関する研究 兵庫県南あわじ市福良地区における「失われない街」プロジェクト

東日本大震災の際に復興の方向性を適切に共有できなかったという課題があった。一般的に住民が被災時に望むのは「早く元の生活に戻ること」であり、復興時に住民の考える地域の生活像を関係者間で適切に把握・共有するための手法が必要である。被災想定地域においては災害前から地域の生活像を把握しておくことでそういった課題を解決できる可能性がある。本研究は、東北の被災地で行われた「失われた街」模型復元プロジェクトの「記憶の街ワークショップ」を地域生活像の把握手法として、南海トラフ地震で津波被災が予測される兵庫県南あわじ市福良地区で応用・実践し、その効果を検証した。その結果、記憶の街ワークショップを応用することで、...

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Published in日本災害復興学会論文集 Vol. 13; pp. 21 - 30
Main Authors 磯村, 和樹, 牧, 紀男, 槻橋, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本災害復興学会 2019
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Summary:東日本大震災の際に復興の方向性を適切に共有できなかったという課題があった。一般的に住民が被災時に望むのは「早く元の生活に戻ること」であり、復興時に住民の考える地域の生活像を関係者間で適切に把握・共有するための手法が必要である。被災想定地域においては災害前から地域の生活像を把握しておくことでそういった課題を解決できる可能性がある。本研究は、東北の被災地で行われた「失われた街」模型復元プロジェクトの「記憶の街ワークショップ」を地域生活像の把握手法として、南海トラフ地震で津波被災が予測される兵庫県南あわじ市福良地区で応用・実践し、その効果を検証した。その結果、記憶の街ワークショップを応用することで、地域の生活像を従来の手法より偏りなく効率的に把握できることがわかった。また、把握した生活像から多様な視点に基づいた復興の方向性を検討できる可能性を示した。課題としては、把握した膨大な生活像の適切な共有手法の検討、証言収集の適切な目標設定、WSへの若年層の参加促進等が挙げられる。
ISSN:2435-4147
DOI:10.34606/jsdrr.13.0_21