慢性心筋硬塞患者の洞調律に関する研究 ホルター心電図検査法による検討
ホルター心電図検査法は, 不整脈・虚血性心疾患において, その有用性が認められており, 特に心筋梗塞患者における心室性期外収縮 (PVC) の出現頻度・発現様式が重要視されている. 一方, 慢性心筋梗塞患者の睡眠中の洞調律の態度の不整脈におよぼす影響が, 臨床的にも検討されるようになり, その発生に自律神経系の関与が注目されるようになったが, どの程度関与しているかについては不明な点が多い. そこで, 陳旧性心筋梗塞患者93例に対してホルター心電図検査を施行し, 夜間心拍数のトレンドパターンを検討し, 洞調律の態度と重症不整脈の発症や病態との関連性について検討した. 心拍数のトレンドグラム上,...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 33; no. 3; pp. 384 - 396 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
10.09.1987
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Summary: | ホルター心電図検査法は, 不整脈・虚血性心疾患において, その有用性が認められており, 特に心筋梗塞患者における心室性期外収縮 (PVC) の出現頻度・発現様式が重要視されている. 一方, 慢性心筋梗塞患者の睡眠中の洞調律の態度の不整脈におよぼす影響が, 臨床的にも検討されるようになり, その発生に自律神経系の関与が注目されるようになったが, どの程度関与しているかについては不明な点が多い. そこで, 陳旧性心筋梗塞患者93例に対してホルター心電図検査を施行し, 夜間心拍数のトレンドパターンを検討し, 洞調律の態度と重症不整脈の発症や病態との関連性について検討した. 心拍数のトレンドグラム上, 心拍数についてはほとんど変化を示さないflat typeと, 一過性に心拍数の増加を示すspike typeの二つに分類することができた. それぞれ, 23例・70例であった. 年齢については, flat typeの症例 (平均年齢69歳) はspike typeの症例 (平均年齢59歳) と比べてより高齢者に多かった (P<0.01).臨床所見と不整脈との関係については, 心不全の既往のある症例, 重症冠状動脈病変の症例, 左心機能の低下した症例 (LVEF<50%) において重症不整脈を認め, 心室性頻拍は心室瘤のある症例に多く認めた. 臨床所見とtype分類との検討では, これらの重篤な不整脈を認めた症例に着目すると, いずれにおいてもflat typeよりもspike typeの症例を多く認めた. 不整脈とtype分類との検討ではflat typeの症例は上室性期外収縮, ならびにPVCをほとんど認めなかったが, spike typeの症例では70例中46例 (66%) において, より重篤な心室性不整脈を認めた (P<0.01). 不整脈の発生において自律神経系の関与も示唆され, 心筋梗塞患者の慢性期の管理上, 臨床的背景について検討すると同時に洞調律の態度も検討しておくことの有用性が示唆された. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.33.384 |