生産的思考 問題解決過程におけるPraxisの効果
この実験は, 問題解決の過程におけるpraxisの積極的効果とその限界とを確かめようとした。 被験者には10才男児26名 (IQ96~140) を用いた。知能的には, 平均値において近似し, 1人1人も互に対応するような二つの群を作つた。第I群には紙にかかれた数字を, 第II群には2組の着色した (1組は青, 他は赤) 数字カードを与え, 後者にはそれを手で扱わせた。 1を初項とする奇数個の自然数の和を, 累加法によらないで求める方法を問題とした。問題の困難の中心点は, はじめには直接与えられてない別の1組の材料の利用を思付くことを必要とすることにある。 確かめられた主な点は次のようである。...
Saved in:
Published in | 教育心理学研究 Vol. 5; no. 2; pp. 1 - 4,63 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本教育心理学会
15.10.1969
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5015 2186-3075 |
DOI | 10.5926/jjep1953.5.2_1 |
Cover
Summary: | この実験は, 問題解決の過程におけるpraxisの積極的効果とその限界とを確かめようとした。 被験者には10才男児26名 (IQ96~140) を用いた。知能的には, 平均値において近似し, 1人1人も互に対応するような二つの群を作つた。第I群には紙にかかれた数字を, 第II群には2組の着色した (1組は青, 他は赤) 数字カードを与え, 後者にはそれを手で扱わせた。 1を初項とする奇数個の自然数の和を, 累加法によらないで求める方法を問題とした。問題の困難の中心点は, はじめには直接与えられてない別の1組の材料の利用を思付くことを必要とすることにある。 確かめられた主な点は次のようである。 1) 解決の方向-数の組合せ-を見出すには, praxisできる材料を与えた方が効果的であつた。 2) 解決の完成-問題の全体構造を把握する-には, 単に記号で材料を与えられた方が効果的である。 3) 問題の材料が複雑になると, praxisによる方法は記号的材料を全体的に眺めるという方法よりも優れているとは云えない。 4) 知覚的に与えられていない材料を思付くことに関係する心的活動として, 想像力, 創造力の問題がさらに研究されなければならない。 |
---|---|
ISSN: | 0021-5015 2186-3075 |
DOI: | 10.5926/jjep1953.5.2_1 |