QM/MM法と溶液の理論の融合による凝縮系の化学過程の自由エネルギー計算(22) ー凝縮系の第一原理計算の方法論についてー

ハイブリッド型の第一原理分子動力学法(QM/MM 法) においては,QM とMM の空間領域が接する境界近傍を理論的にどう扱うかというQM/MM 境界問題が古くから知られている.この境界問題には,大別して2種類がある.1つ目は,QM/MM の境界線が共有結合を横切る場合に発生し,特にタンパク質のようにペプチド鎖を境界線が横断する場合に問題になる.2つ目は,例えば溶質をQM とし溶媒をMM として扱う溶液のQM/MM シミュレーションにおいて,溶質近傍の溶媒分子をQM 領域に取り込む拡張型のQM/MM シミュレーションを実施する場合に問題となる.後者の境界問題を解決する方法は主にadaptive...

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Published inアンサンブル Vol. 24; no. 4; pp. 234 - 237
Main Author 高橋, 英明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 分子シミュレーション学会 31.10.2022
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ISSN1884-6750
1884-5088
DOI10.11436/mssj.24.234

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Summary:ハイブリッド型の第一原理分子動力学法(QM/MM 法) においては,QM とMM の空間領域が接する境界近傍を理論的にどう扱うかというQM/MM 境界問題が古くから知られている.この境界問題には,大別して2種類がある.1つ目は,QM/MM の境界線が共有結合を横切る場合に発生し,特にタンパク質のようにペプチド鎖を境界線が横断する場合に問題になる.2つ目は,例えば溶質をQM とし溶媒をMM として扱う溶液のQM/MM シミュレーションにおいて,溶質近傍の溶媒分子をQM 領域に取り込む拡張型のQM/MM シミュレーションを実施する場合に問題となる.後者の境界問題を解決する方法は主にadaptive 法とconstraint 法の2つに分類される.本寄稿では,これら2つの方法を概説し,続いてconstraint 法に分類される筆者らの方法を導入する.
ISSN:1884-6750
1884-5088
DOI:10.11436/mssj.24.234