大学生の起業意思に関する調査レポート GUESSS2021-2023 調査結果における日本のサンプル分析

本研究は、Global University Entrepreneurial Spirit Students’ Survey(GUESSS)における2021年調査と2023年調査の日本データを体系的に比較分析し、日本の大学生における起業意識の変化を明らかにすることを目的としている。分析結果は、日本の大学生における三つの特徴的な傾向を示している。第一に、安定志向の強化が観察され、大企業志向が強まる一方、創業希望者は減少している。第二に、起業に向けた具体的な行動を起こす学生が著しく減少している。特に、起業準備活動を「何もしていない」学生の割合が57.8%から95.8%へと急増している。第三に、女性...

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Published inイノベーション・マネジメント Vol. 22; pp. 309 - 326
Main Authors 鹿住, 倫世, 柳, 淳也, 田路, 則子, 藤村, まこと, 松本, 修平, 玉井, 由樹, 山田, 裕美, 山田, 仁一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター 31.03.2025
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ISSN1349-2233
2433-6971
DOI10.24677/riim.22.0_309

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Summary:本研究は、Global University Entrepreneurial Spirit Students’ Survey(GUESSS)における2021年調査と2023年調査の日本データを体系的に比較分析し、日本の大学生における起業意識の変化を明らかにすることを目的としている。分析結果は、日本の大学生における三つの特徴的な傾向を示している。第一に、安定志向の強化が観察され、大企業志向が強まる一方、創業希望者は減少している。第二に、起業に向けた具体的な行動を起こす学生が著しく減少している。特に、起業準備活動を「何もしていない」学生の割合が57.8%から95.8%へと急増している。第三に、女性の起業意思は男性の約3割という水準で推移しており、この男女差は世界的に観察される現象ではあるものの、日本の場合は特に顕著である。これらの知見は、日本の起業家育成における構造的な課題を示唆しており、実践的な起業家教育の充実、効果的な女性起業家支援枠組みの確立、そして段階的な起業支援基盤の構築など、より包括的な支援体制の必要性を示している。
ISSN:1349-2233
2433-6971
DOI:10.24677/riim.22.0_309