《研究ノート》ミルクボーイの漫才は何を「行ったり来たり」しているのか ディベートとの類似点と相違点

本稿では,「ミルクボーイ」による漫才の構造を分析した。そして,彼らの漫才とディベートの間に類似点と相違点があることを指摘した。ディベートとの類似点は,ある論題に関して,肯定側と否定側で三角ロジックを組み,立論の検討が行われることである。一方,ディベートとの差異は,肯定側と否定側が対決せず,共同で双方の立論について交互に検討することである。日本語会話は,英語圏の対話と異なり,相手の発言を互いに補完しつつ共同して会話を進行させる「共話」という特徴が指摘される。ミルクボーイの漫才に見られる話者2人が共同的に三角ロジックを形成し,互いに納得できる結論を探るプロセスは,日本語の日常会話に近似した議論の方...

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Published in笑い学研究 Vol. 31; pp. 67 - 76
Main Author 中園 篤典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本笑い学会 2024
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ISSN2189-4132
2423-9054
DOI10.18991/warai.31.0_67

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Summary:本稿では,「ミルクボーイ」による漫才の構造を分析した。そして,彼らの漫才とディベートの間に類似点と相違点があることを指摘した。ディベートとの類似点は,ある論題に関して,肯定側と否定側で三角ロジックを組み,立論の検討が行われることである。一方,ディベートとの差異は,肯定側と否定側が対決せず,共同で双方の立論について交互に検討することである。日本語会話は,英語圏の対話と異なり,相手の発言を互いに補完しつつ共同して会話を進行させる「共話」という特徴が指摘される。ミルクボーイの漫才に見られる話者2人が共同的に三角ロジックを形成し,互いに納得できる結論を探るプロセスは,日本語の日常会話に近似した議論の方法の一形態と考えられる。
ISSN:2189-4132
2423-9054
DOI:10.18991/warai.31.0_67