口腔扁平上皮癌の頸部非制御例に関する臨床的検討

1980年~1991年に頸部郭清を施行した口腔粘膜扁平上皮癌124例について臨床的に検討し, 以下の結果を得た。 1.N+で初回原発巣と同時に頸部郭清を施行した66例のうち頸部非制御は2例であった。これらの2例は組織学的に最も高悪性型で, 多発性, 広範囲の転移を有していた。 2.N+で原発巣に対する組織内照射後に頸部郭清を施行した21例のうち頸部非制御は5例であった。これらの5例は組織学的悪性度は中~低悪性型で当初は限局性の転移であったが, 照射から郭清まで長期間を要していた。 3.N0で後発転移出現時に頸部郭清を施行した29例のうち頸部非制御は5例であった。これらの5例は組織学的に中~低悪...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 7; no. 2; pp. 101 - 110
Main Authors 梅田, 正博, 川越, 弘就, 藤岡, 学, 中谷, 撤, 西松, 成器, 奥, 尚久, 武, 宣昭, 横尾, 聡, 寺延, 治, 中西, 孝一, 島田, 桂吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 25.08.1995
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:1980年~1991年に頸部郭清を施行した口腔粘膜扁平上皮癌124例について臨床的に検討し, 以下の結果を得た。 1.N+で初回原発巣と同時に頸部郭清を施行した66例のうち頸部非制御は2例であった。これらの2例は組織学的に最も高悪性型で, 多発性, 広範囲の転移を有していた。 2.N+で原発巣に対する組織内照射後に頸部郭清を施行した21例のうち頸部非制御は5例であった。これらの5例は組織学的悪性度は中~低悪性型で当初は限局性の転移であったが, 照射から郭清まで長期間を要していた。 3.N0で後発転移出現時に頸部郭清を施行した29例のうち頸部非制御は5例であった。これらの5例は組織学的に中~低悪性型であったが, 後発転移が高度に進展するまで発見できなかった症例であった。 4.原発巣再発時に頸部郭清を施行した8例には頸部非制御はなかった。 5.以上の結果より, 高悪性型に対する治療法の確立や, CT, MRIを用いた転移の早期診断が重要と考えられた。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.7.101