個人情報保護と消化器がん検診 職域検診の場合

個人情報保護法の施行に伴い職域がん検診を実施していく上で種々の対策を講じる必要が生じてきた。我々の施設ではがん検診を含む全ての定期健康診断データを保有しているため, 事業主及び提携健診機関との問でその関係を明らかにした契約を結び, 被保険者にも公表している。また, 精度管理に必須のデータである精検情報については提携医療機関から入手する場合は, がん検診を健保事業として施行しているため個人の同意を得る必要はないと考えている。情報の管理として, 保管場所のセキュリティーには十分な配慮が必要であり, さらに学術研究を目的とした場合, 一度に多量のデータを取り扱うため別途内規を定め紛失, 流失を防止す...

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Published in日本消化器集団検診学会雑誌 Vol. 44; no. 1; pp. 21 - 28
Main Authors 西田, 博, 原田, 明子, 松本, 貴弘, 辰巳, 嘉英, 谷, 知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器がん検診学会 15.01.2006
Subjects
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ISSN1345-4110
2186-7321
DOI10.11404/jsgcs2000.44.1_21

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Summary:個人情報保護法の施行に伴い職域がん検診を実施していく上で種々の対策を講じる必要が生じてきた。我々の施設ではがん検診を含む全ての定期健康診断データを保有しているため, 事業主及び提携健診機関との問でその関係を明らかにした契約を結び, 被保険者にも公表している。また, 精度管理に必須のデータである精検情報については提携医療機関から入手する場合は, がん検診を健保事業として施行しているため個人の同意を得る必要はないと考えている。情報の管理として, 保管場所のセキュリティーには十分な配慮が必要であり, さらに学術研究を目的とした場合, 一度に多量のデータを取り扱うため別途内規を定め紛失, 流失を防止すべきである。同法は職域検診での精度管理を目的とした調査を個人の同意に行うことを認めていないため, 事業者によっては事実上不可能な場合も想定される。今後, 上記問題点を考慮した職域検診のあり方についての議論が望まれる。
ISSN:1345-4110
2186-7321
DOI:10.11404/jsgcs2000.44.1_21