ウシ連鎖不平衡ブロックの分析とその利用
「1. はじめに」ヒト, マウス, 家畜を含むさまざまな動物種においてゲノム上に多型マーカーが開発され, これを用いた形質のマッピングがなされてきた. 多くの遺伝性疾患を含む質的形質や家畜の経済形質等の量的形質について現在もマッピングの努力が続いている. 多型性遺伝子座位の伝達はメンデルの法則(分離, 独立, 優劣)に従うが, 同一染色体上に位置する複数の座位は独立の法則に従わない例外である. これがすなわち連鎖であるが, 目的とする座位の近傍に位置する多型マーカーによりマッピングが可能なのは, まさにこの連鎖の性質を利用している. 染色体上の複数座位のある特定のアレルの並びをハプロタイプと呼...
Saved in:
Published in | 動物遺伝育種研究 Vol. 36; no. 1; pp. 13 - 21 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本動物遺伝育種学会
2008
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-9961 |
Cover
Summary: | 「1. はじめに」ヒト, マウス, 家畜を含むさまざまな動物種においてゲノム上に多型マーカーが開発され, これを用いた形質のマッピングがなされてきた. 多くの遺伝性疾患を含む質的形質や家畜の経済形質等の量的形質について現在もマッピングの努力が続いている. 多型性遺伝子座位の伝達はメンデルの法則(分離, 独立, 優劣)に従うが, 同一染色体上に位置する複数の座位は独立の法則に従わない例外である. これがすなわち連鎖であるが, 目的とする座位の近傍に位置する多型マーカーによりマッピングが可能なのは, まさにこの連鎖の性質を利用している. 染色体上の複数座位のある特定のアレルの並びをハプロタイプと呼ぶ. 集団におけるハプロタイプ頻度を観測することで2座位間の連鎖の度合いを測ったとき, 染色体上のどの場所も必ずしも一様な連鎖の度合いを示さない. また集団が異なれば, 連鎖の度合いも異なってくる. この集団における連鎖の強さの度合いを「連鎖不平衡度」という尺度で表現する. 本稿では, 集団内において生じる連鎖不平衡を分析することで, 量的形質座位(QTL)のマッピングや集団の識別に利用できる例を紹介する. |
---|---|
ISSN: | 1345-9961 |