学習の自己調整は日常的学習行動の中でどう促進されるのか 研究,実践,政策の動向と今後の展望

指導要録の観点別学習状況評価の改訂(2019)に際して,「主体的に学習に取り組む態度」の一側面として「自らの学習を調整する」ということが重視された.本稿では,「予見-遂行-省察」という自己調整学習プロセスの学術研究と,「予習-授業-復習」という授業ベースの習得サイクルで学習スキルを育てる実践研究とをまず概観する.両者に共通しているのは,自立的な学習者の育成ということにほかならないが,扱っている学習状況や学習スキルは一見異なっているように思われる.そこで,本稿では両者の対応について3つの関係を想定した上で,統合の可能性を検討する.また,新教育課程や学習評価において強調されているにもかかわらず,日...

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Published in教育実践学研究 Vol. 25; no. 1; pp. 81 - 94
Main Authors 市川, 伸一, 篠ヶ谷, 圭太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本教育実践学会 2023
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ISSN1344-946X
2435-9521
DOI10.34587/jsep.25.1_81

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Summary:指導要録の観点別学習状況評価の改訂(2019)に際して,「主体的に学習に取り組む態度」の一側面として「自らの学習を調整する」ということが重視された.本稿では,「予見-遂行-省察」という自己調整学習プロセスの学術研究と,「予習-授業-復習」という授業ベースの習得サイクルで学習スキルを育てる実践研究とをまず概観する.両者に共通しているのは,自立的な学習者の育成ということにほかならないが,扱っている学習状況や学習スキルは一見異なっているように思われる.そこで,本稿では両者の対応について3つの関係を想定した上で,統合の可能性を検討する.また,新教育課程や学習評価において強調されているにもかかわらず,日本の学校教育において学習の自己調整がなかなか浸透していない理由を考察する.最後に,教育政策の動向も踏まえつつ,今後の研究や実践の方向性について展望する.
ISSN:1344-946X
2435-9521
DOI:10.34587/jsep.25.1_81