近年のフッ化物応用をめぐる科学的思考(第二報):誤解を解くデータと考え方

本稿では近年のフッ化物応用に関する考え方について,二部構成の第二報として解説した.「1.フッ化物配合歯磨剤が普及した現在の日本における集団フッ化物洗口の効果」については,無作為化比較試験だけでは実社会における健康政策の効果を測ることはできず,健康格差縮小の観点からもポピュレーションアプローチとしての集団フッ化物洗口の必要性を解説した.「2.フッ化物配合歯磨剤のチタン材料への安全性と,クロルヘキシジンのう蝕予防への疑問やアナフィラキシーショック」については,クロルヘキシジンのう蝕予防効果や副作用について最新の科学的知見を踏まえての見直しの必要性を説明した.「3.フッ化物応用とアレルギー・アナフィ...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 75; no. 3; pp. 124 - 131
Main Authors 相田 潤, 松山 祐輔, 田口 円裕, 石塚 洋一, 眞木 吉信, 古田 美智子, 森木 大輔, 竹内 研時, 田所 大典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2025
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.75.3_124

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Summary:本稿では近年のフッ化物応用に関する考え方について,二部構成の第二報として解説した.「1.フッ化物配合歯磨剤が普及した現在の日本における集団フッ化物洗口の効果」については,無作為化比較試験だけでは実社会における健康政策の効果を測ることはできず,健康格差縮小の観点からもポピュレーションアプローチとしての集団フッ化物洗口の必要性を解説した.「2.フッ化物配合歯磨剤のチタン材料への安全性と,クロルヘキシジンのう蝕予防への疑問やアナフィラキシーショック」については,クロルヘキシジンのう蝕予防効果や副作用について最新の科学的知見を踏まえての見直しの必要性を説明した.「3.フッ化物応用とアレルギー・アナフィラキシー」では,フッ化物によるアナフィラキシーの可能性は低い一方で,フッ化物の過剰摂取による急性中毒にも注意する必要性を説明した.「4.フッ化物応用のエビデンスの位置づけ:乳幼児期のう蝕予防を例に」では,「病気の原因になる」ことと「原因を予防できる」ことを分けて考え,科学的根拠にもとづくう蝕予防を推奨すべきであることを解説した.「5.なぜ,水道水フロリデーションを含むフッ化物応用のアドボケートが必要か」では,ヘルスプロモーションにおける集団の意思決定としての公衆衛生政策における専門家の役割として,正しい情報に基づく住民へのアドボケート(推奨)の必要性を解説した.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.75.3_124