12誘導心電図のP波と心房細動アブレーション後との関連

心房リモデリング(構造的リモデリング)は心筋細胞の脱落と間質の線維化の形成によるものであり,心電図におけるP波時間の延長や波高の低下として現れる.今回我々はP波長(Pd)と3次元空間におけるP波ベクトルの大きさ(Pvm:P-wave vector magnitude)の比,Pd/Pvmを用いて心房細動アブレーション後の成績との関連を検討した.High Pd/Pvmは有意にアブレーション後の再発が多く,High Pd/Pvmは手技に伴う心筋傷害(高感度トロポニンⅠ)が少なく,再発形式はリンエントリー性の心房頻拍が多いといった,心筋細胞の脱落や線維化を示唆する所見を認めた.Pd/Pvmは術後の再発...

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Published in心電図 Vol. 45; no. 2; pp. 134 - 140
Main Author 矢野, 正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 31.07.2025
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Summary:心房リモデリング(構造的リモデリング)は心筋細胞の脱落と間質の線維化の形成によるものであり,心電図におけるP波時間の延長や波高の低下として現れる.今回我々はP波長(Pd)と3次元空間におけるP波ベクトルの大きさ(Pvm:P-wave vector magnitude)の比,Pd/Pvmを用いて心房細動アブレーション後の成績との関連を検討した.High Pd/Pvmは有意にアブレーション後の再発が多く,High Pd/Pvmは手技に伴う心筋傷害(高感度トロポニンⅠ)が少なく,再発形式はリンエントリー性の心房頻拍が多いといった,心筋細胞の脱落や線維化を示唆する所見を認めた.Pd/Pvmは術後の再発を予測する簡便で非常に有用な指標であり,同時に心房リモデリングの進行も予測できるため,事前のアブレーションシステムの決定や術中の追加アブレーションの検討にも役立つと考えられる.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.45.134