食道腫瘍気管浸潤に対する気管内ステント留置術の麻酔経験

食道腫瘍気管浸潤を有する, 55歳, 女性に対して, 緊急気管内ステント留置術がPCPS併用全身麻酔下に予定された. PCPS開始後に, 経口気管挿管を行った. 手術途中, 手術操作のために気管チューブを抜去せざるを得なかった. しかし抜管から15分後, 右手SpO2, PaO2のみが一時的に低下した. 左上肢はPCPSで十分に酸素化された動脈血が灌流しているが, 右上肢は自己心拍による酸素化の悪い動脈血が灌流していると考えられた. 本症例では, 気管内酸素吹送と, 血圧を上げず自己心拍血流を抑えて事なきを得た. 心機能に問題のない症例でPCPS併用管理を行う場合には, 右手のSpO2, Pa...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 26; no. 2; pp. 211 - 214
Main Authors 櫻井, 行一, 舘岡, 一芳, 河本, 瑞穂, 猪狩, 典俊, 仙石, 和文, 岩崎, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.03.2006
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.26.211

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Summary:食道腫瘍気管浸潤を有する, 55歳, 女性に対して, 緊急気管内ステント留置術がPCPS併用全身麻酔下に予定された. PCPS開始後に, 経口気管挿管を行った. 手術途中, 手術操作のために気管チューブを抜去せざるを得なかった. しかし抜管から15分後, 右手SpO2, PaO2のみが一時的に低下した. 左上肢はPCPSで十分に酸素化された動脈血が灌流しているが, 右上肢は自己心拍による酸素化の悪い動脈血が灌流していると考えられた. 本症例では, 気管内酸素吹送と, 血圧を上げず自己心拍血流を抑えて事なきを得た. 心機能に問題のない症例でPCPS併用管理を行う場合には, 右手のSpO2, PaO2で脳・心への酸素供給が保たれているか否かをモニターすべきである.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.26.211