経穴の特異的作用に関する研究 胆嚢形態に及ぼす丘墟穴の作用について

経絡経穴の特異的機能については殆ど研究されていない。そこで筆者らは経絡経穴の特異的機能を明らかにするため「胆経と胆嚢」の経絡の機能的関連性を基に胆嚢形態を指標に検討した。 研究対象は健康成人男子ボランティア10名, 実験日は絶食とした。標的臓器は胆嚢とし, 胆嚢形態は超音波診断装置 (東芝製SSA-90A)で測定した。胆嚢形態の測定は胆嚢の断面積の長軸方向が最大を示す位置で撮影した。胆嚢の断面積の計測は画像解析装置を用いて行った。胆嚢形態の測定は安静臥床後15分を経過した後に行い, 刺激前10分間, 刺激中, 刺激終了後30分間にわたり, 2~5分間隔で撮影した。刺激部位は右側の陽陵泉穴, 外...

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Published in全日本鍼灸学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 343 - 350
Main Authors 矢野, 忠, 大山, 良樹, 山田, 伸之, 森, 和, 行待, 寿紀, 伏田, 信一, 前田, 見太郎, 河本, 呂, 下屋, 勝比古, 柴田, 貴生, 伊原, 茂, 本谷, 直人, 後藤, 克利, 中田, 浩, 沖胡, 操
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 全日本鍼灸学会 01.12.1990
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Summary:経絡経穴の特異的機能については殆ど研究されていない。そこで筆者らは経絡経穴の特異的機能を明らかにするため「胆経と胆嚢」の経絡の機能的関連性を基に胆嚢形態を指標に検討した。 研究対象は健康成人男子ボランティア10名, 実験日は絶食とした。標的臓器は胆嚢とし, 胆嚢形態は超音波診断装置 (東芝製SSA-90A)で測定した。胆嚢形態の測定は胆嚢の断面積の長軸方向が最大を示す位置で撮影した。胆嚢の断面積の計測は画像解析装置を用いて行った。胆嚢形態の測定は安静臥床後15分を経過した後に行い, 刺激前10分間, 刺激中, 刺激終了後30分間にわたり, 2~5分間隔で撮影した。刺激部位は右側の陽陵泉穴, 外丘穴, 光明穴, 丘墟穴, 足竅陰穴とし, 得気を得た後1分間の雀啄と1分間の置針を3回繰り返した。さらに卵黄負荷による胆嚢形態の縮小反応および卵黄負荷時の丘墟穴の作用についても検討した。 その結果, 1) 陽陵泉穴, 外丘穴, 光明穴, 足竅陰穴の刺激は胆嚢形態に影響を及ぼさなかった。2) 丘墟穴の刺激は胆嚢形態を拡張させた。3) 卵黄負荷による胆嚢収縮反応に対し, 丘墟穴刺激は抑制的に作用した。 以上の結果から下腿胆経上の経穴の中で胆嚢形態に対し拡張的に作用する経穴が存在することが分かった。このことは経穴の特異的作用の存在を示唆するものである。
ISSN:0285-9955
1882-661X
DOI:10.3777/jjsam.40.343