慢性肝炎活動型と食道潰瘍を合併した進行性全身性硬化症の1例

慢性肝炎活動型と食道潰瘍を合併した進行性全身性硬化症(PSS)の1例を報告する.患者は42歳男性で,えん下時つまり感を主訴に入院した.既往として,昭和40年(S40)頃より手足の浮腫,S45よりレイノー現象,S50より手指の硬化,S56に吐血をみている.入院時,仮面様顔貌,手足の皮膚硬化,左手首の関節痛と朝のこわばりを認めた. 検査では,RAテスト(+),γ-グロブリン値増加,HBsAg・Ab(-), KICG=0.12,血清補体価45.4CH50u,抗ミトコンドリア抗体(-),T細胞80.2%, B細胞14.2%,尿中4-OHプロリン42.96mg/dayなどであった.皮膚生検は,真皮層の著...

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Published in肝臓 Vol. 24; no. 3; pp. 313 - 319
Main Authors 三宅, 周, 川口, 憲二, 尾上, 公昭, 杉山, 明, 上原, 正照, 中津, 高明, 河野, 宏, 荒木, 文雄, 池本, 吉博, 高田, 耕基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.03.1983
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Summary:慢性肝炎活動型と食道潰瘍を合併した進行性全身性硬化症(PSS)の1例を報告する.患者は42歳男性で,えん下時つまり感を主訴に入院した.既往として,昭和40年(S40)頃より手足の浮腫,S45よりレイノー現象,S50より手指の硬化,S56に吐血をみている.入院時,仮面様顔貌,手足の皮膚硬化,左手首の関節痛と朝のこわばりを認めた. 検査では,RAテスト(+),γ-グロブリン値増加,HBsAg・Ab(-), KICG=0.12,血清補体価45.4CH50u,抗ミトコンドリア抗体(-),T細胞80.2%, B細胞14.2%,尿中4-OHプロリン42.96mg/dayなどであった.皮膚生検は,真皮層の著明な線維化を認め,PSSに一致する所見であった.内視鏡では,食道の40cmに2個の潰瘍をみた.腹腔鏡検査上,表面がやや不整で白色紋理の増強と中等度の脾腫をみ,生検では慢性肝炎活動型(ヨーロッパ分類でCAH, 2A)であり,自己免疫的な機序との関連が興味を持たれた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.24.313