缶詰食品の微生物による変敗原因(1968~1980)
1968~80年の13年間に実施した,変敗缶詰食品の微生物学的試験の成績と変敗原因について述べた。結果は次の通りであった。 (1) 変敗製品から菌株の純粋分離に成功したのは,供試445検体中の290検体(65%)であった。果実・果汁類製品では分離が困難で,純粋分離に成功したのはわずかに34% (71検体中の24検体)であった。 (2) 変敗製品の容器が顕著に膨脹しているにもかかわらず,培地中でガスを産生しない菌株のみが分離されたものが供試194検体中24検体(12%)あった。 (3) 容器の密封性が良好であったにもかかわらず,有芽胞細菌以外の菌株が分離された検体が供試223検体中に73検体(3...
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Published in | 日本食品工業学会誌 Vol. 32; no. 6; pp. 444 - 449 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本食品科学工学会
01.06.1985
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ISSN | 0029-0394 |
DOI | 10.3136/nskkk1962.32.6_444 |
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Summary: | 1968~80年の13年間に実施した,変敗缶詰食品の微生物学的試験の成績と変敗原因について述べた。結果は次の通りであった。 (1) 変敗製品から菌株の純粋分離に成功したのは,供試445検体中の290検体(65%)であった。果実・果汁類製品では分離が困難で,純粋分離に成功したのはわずかに34% (71検体中の24検体)であった。 (2) 変敗製品の容器が顕著に膨脹しているにもかかわらず,培地中でガスを産生しない菌株のみが分離されたものが供試194検体中24検体(12%)あった。 (3) 容器の密封性が良好であったにもかかわらず,有芽胞細菌以外の菌株が分離された検体が供試223検体中に73検体(33%)あった。 (4) 分離菌株の種類別には,122検体から好気性有芽胞細菌が,76検体から偏性嫌気性有芽胞細菌が,115検体から無芽胞桿菌が,12検体から球菌が,16検体から酵母が得られた。 (5) 最終的に推定された変敗原因は,微生物に起因するもの177例中加熱殺菌不足88例(49%),未殺菌1例(1%未満),加熱殺菌後の二次的微生物汚染40例(23%),初期変敗3例(2%),高温放置4例(2%)及び原因不明42例(24%)であった。 |
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ISSN: | 0029-0394 |
DOI: | 10.3136/nskkk1962.32.6_444 |