唇顎口蓋裂者の咬合の安定性についての筋電図学的研究
上顎骨や上顎歯列弓に様々な形態異常が認められる唇顎口蓋裂患者の咬合状態が, 咬筋筋活動量に与える影響を調べることを目的に研究を行った.被験者に小児および成人の正常咬合者と唇顎口蓋裂者の18名を用い, さらに唇顎口蓋裂者を上顎歯列弓に狭窄のある群 (狭窄群) とない群 (非狭窄群) に分けた.これら被験者に対し, 上下顎臼歯部の咬合接触状態を数値で表現するため新たに考案した咬合安定指数と, 9チャンネル筋電図分析システムによる咬筋筋活動量, およびそれらの非対称性指数を計測した. 研究結果は以下のとおりであった. 1. 小児被験者の咬合安定指数と咬筋筋活動量では, 正常群と非狭窄群に比べ狭窄群が...
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Published in | 日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 2; no. 2; pp. 179 - 187 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎口腔機能学会
31.01.1996
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ISSN | 1340-9085 1883-986X |
DOI | 10.7144/sgf.2.179 |
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Summary: | 上顎骨や上顎歯列弓に様々な形態異常が認められる唇顎口蓋裂患者の咬合状態が, 咬筋筋活動量に与える影響を調べることを目的に研究を行った.被験者に小児および成人の正常咬合者と唇顎口蓋裂者の18名を用い, さらに唇顎口蓋裂者を上顎歯列弓に狭窄のある群 (狭窄群) とない群 (非狭窄群) に分けた.これら被験者に対し, 上下顎臼歯部の咬合接触状態を数値で表現するため新たに考案した咬合安定指数と, 9チャンネル筋電図分析システムによる咬筋筋活動量, およびそれらの非対称性指数を計測した. 研究結果は以下のとおりであった. 1. 小児被験者の咬合安定指数と咬筋筋活動量では, 正常群と非狭窄群に比べ狭窄群が著しく低い値を示し, それらの左右側の対称性も低かった. 2. 咬合安定指数と咬筋筋活動量とには強い正相関 (r=0.96) が認められた. 3. 小児唇顎口蓋裂者の狭窄群に咬合接触状態を安定させるためスプリントを10日間装着させた結果, 咬筋筋活動量は増加し, 左右咬筋の非対称性も著明に改善した. 4. 小児被験者と成人被験者との咬合安定指数と咬筋筋活動量を比較した結果, いずれの群でも成人の方が高い値を示していた.特に, 狭窄群は他の2群に比べて著しい増加を示しており, 矯正治療による咬合の安定性の改善が認められた. |
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ISSN: | 1340-9085 1883-986X |
DOI: | 10.7144/sgf.2.179 |