関与しながらの観察者・参加的理論構成者としての心理臨床家 : ―バウムを用いた事例からの検討

描画は、心理テストとして使用されてアセスメントに活用する場合があるが、それだけではなく、描画という営みそのものが治療的効果を持つ場合がある。どちらの場合においても、心理臨床家とクライエントの対人関係論(相互作用性)が重要であり、心理臨床家の“関与しながらの観察者”ないし“参加的理論構成者”としての真摯かつ臨機な態度が求められる。これを説明するために、本稿では、第一に、非行少年・犯罪少年の心理テスト実施の実情について述べ、第二に、統合失調症者の描画による表現療法の事例を挙げた。後者においては、クライエントと心理臨床家が平行してバウムを描くという方法論を試み、それにより治療方針を定めたところ、クラ...

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Published in東京未来大学研究紀要 Vol. 10; pp. 79 - 85
Main Authors 須田 誠, Suda Makoto
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 三幸学園 東京未来大学 31.03.2017
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Summary:描画は、心理テストとして使用されてアセスメントに活用する場合があるが、それだけではなく、描画という営みそのものが治療的効果を持つ場合がある。どちらの場合においても、心理臨床家とクライエントの対人関係論(相互作用性)が重要であり、心理臨床家の“関与しながらの観察者”ないし“参加的理論構成者”としての真摯かつ臨機な態度が求められる。これを説明するために、本稿では、第一に、非行少年・犯罪少年の心理テスト実施の実情について述べ、第二に、統合失調症者の描画による表現療法の事例を挙げた。後者においては、クライエントと心理臨床家が平行してバウムを描くという方法論を試み、それにより治療方針を定めたところ、クライエントの心理状態の安定がもたらされた。
ISSN:1882-5273
2433-5487
2433-5487
DOI:10.24603/tfu.10.0_79