胆道癌, 膵頭部領域癌, 肝癌および肝硬変症に関する臨床的検討

胆道および膵頭部領域癌ならびに肝硬変症および肝癌の治療成績を検討した。 胆道および膵頭部領域癌については, 胆のう (G) 癌10例, 胆管 (B) 癌18例, 乳頭部 (A) 癌6例, 膵頭部 (Ph) 癌15例の計49例を対象とした。そのうち, 根治術を施行し得たものは, G癌1例, B癌1例, A癌5例, Ph癌2例の計9例にすぎず, 全体としての施行率は18.4%であったが, 部位別にみるとA癌では5/6 (83%) と好成績であった。 肝硬変症および肝癌については, 肝硬変症78例, 肝癌24例の計102例について検討した。成因別にみると肝硬変症は, ウィルス性15%, アルコール性...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 772 - 778
Main Authors 佐々木, 襄, 井上, 邦典, 川口, 正晴, 武藤, 寛, 平田, 俊次, 森田, 悟, 関口, 善孝, 高科, 成良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 01.11.1986
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Summary:胆道および膵頭部領域癌ならびに肝硬変症および肝癌の治療成績を検討した。 胆道および膵頭部領域癌については, 胆のう (G) 癌10例, 胆管 (B) 癌18例, 乳頭部 (A) 癌6例, 膵頭部 (Ph) 癌15例の計49例を対象とした。そのうち, 根治術を施行し得たものは, G癌1例, B癌1例, A癌5例, Ph癌2例の計9例にすぎず, 全体としての施行率は18.4%であったが, 部位別にみるとA癌では5/6 (83%) と好成績であった。 肝硬変症および肝癌については, 肝硬変症78例, 肝癌24例の計102例について検討した。成因別にみると肝硬変症は, ウィルス性15%, アルコール性44%, 特殊型1%, 原因不明40%であり, 肝癌は, ウィルス性29%, アルコール性29%, 原因不明42%であった。 これらの領域癌の治療成績は, A癌を除くといずれも不良で, 今後その向上を図るためには, 内視鏡US, アンギオ, CTなどの最近めざましく進歩した検査法を駆使して早期発見に努めるとともに, 積極的に根治術の適応拡大に努力する必要がある。 肝硬変症については, 上部消化管出血例ならびに余命の延長による肝癌合併症例が増加する傾向にあり, これらにいかに対応するかが今後の課題である。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.35.772