秋田県農村地域における乳癌集団検診の成績

秋田県厚生連病院の9施設からなる共同研究班を編成し, 乳癌の集検を行なった。対象は30才以上の女性とし, 方法は日本対ガン協会の標準方式にならった。1983年4月より1985年3月までの2年間の受診者総数は15903名で, このうち607名 (3.8%) が要精検者で精検受診率は86.0%であった。検診様式別の受診者数をみると, 出張検診が施設検診より若干多く, 乳癌検診単独の場合と他の検診との併用の場合では後者が圧倒的に多かった。年令別受診者数では40才代が最も多く, 次いで50才代, 30才代の順で60才代は全体の7%にすぎなかった。精検の結果, 乳癌12例 (0.07%) の他, 慢性乳...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 803 - 807
Main Authors 鈴木, 彰, 池田, 利史, 岸部, 陞, 高野, 一彦, 師岡, 長, 松岡, 富雄, 渡部, 忠信, 加藤, 博典, 小野, 雄司, 菅谷, 彪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 01.11.1985
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.34.803

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Summary:秋田県厚生連病院の9施設からなる共同研究班を編成し, 乳癌の集検を行なった。対象は30才以上の女性とし, 方法は日本対ガン協会の標準方式にならった。1983年4月より1985年3月までの2年間の受診者総数は15903名で, このうち607名 (3.8%) が要精検者で精検受診率は86.0%であった。検診様式別の受診者数をみると, 出張検診が施設検診より若干多く, 乳癌検診単独の場合と他の検診との併用の場合では後者が圧倒的に多かった。年令別受診者数では40才代が最も多く, 次いで50才代, 30才代の順で60才代は全体の7%にすぎなかった。精検の結果, 乳癌12例 (0.07%) の他, 慢性乳腺症 (233名), 線維腺腫 (15名), 乳腺炎 (40名) が主な疾患であった。乳癌の病期分類ではStageIが全体の6割をしめた。乳癌発見率は年令が進むにつれて高くなり, 60才代では0.25%と最も高率であった。腫瘤自覚の有無および検診歴については6割は腫瘤に気づいており, また7割が初回検診でしめられた。これらのことから自己検診法の普及および未受診者の開拓の重要性が示唆された。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.34.803