口腔内ビデオカメラを通してみた乳児の吸啜時舌運動と口腔周囲筋活動の協調

満期正常分娩で出生した健康な乳児25名 (平均週齢, 13.0±4.5週) を対象とした.口腔内の動きが観察できるCCDビデオカメラと吸引圧の変化 (吸啜波) を測定する圧センサを内蔵した哺乳瓶を作製し, 吸啜運動時における舌の動きと, 顎運動と口腔周囲筋筋活動および吸引圧との協調について観察を行った結果, 以下の結論を得た. 1.全被検者とも吸啜中舌は蠕動運動を示していた. 2.吸引圧と舌運動および顎運動には相関が認められ, 下顎は舌中央部に隆起が生じるまで挙上し, その間乳首高径は減少し, 吸引圧は陽圧方向を示した.顎は閉口後, 後退し舌中央部の隆起は後方に移動し, この時吸引圧は陰圧方向...

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Published in日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 2; no. 1; pp. 19 - 26
Main Authors 田村, 康夫, 堀川, 容子, 林, 努, 吉田, 定宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎口腔機能学会 30.06.1995
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ISSN1340-9085
1883-986X
DOI10.7144/sgf.2.19

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Summary:満期正常分娩で出生した健康な乳児25名 (平均週齢, 13.0±4.5週) を対象とした.口腔内の動きが観察できるCCDビデオカメラと吸引圧の変化 (吸啜波) を測定する圧センサを内蔵した哺乳瓶を作製し, 吸啜運動時における舌の動きと, 顎運動と口腔周囲筋筋活動および吸引圧との協調について観察を行った結果, 以下の結論を得た. 1.全被検者とも吸啜中舌は蠕動運動を示していた. 2.吸引圧と舌運動および顎運動には相関が認められ, 下顎は舌中央部に隆起が生じるまで挙上し, その間乳首高径は減少し, 吸引圧は陽圧方向を示した.顎は閉口後, 後退し舌中央部の隆起は後方に移動し, この時吸引圧は陰圧方向を示し, そして開口するパターンを示した. 3.側頭筋と咬筋は顎が閉口し吸引圧の陽圧相で活動を示し, 口輪筋と舌骨上筋群は陽圧相と陰圧相の両者にかけて活動した.口輪筋は陽圧相で活動が大きく, それに対し舌骨上筋群は陰圧相で活動が著明であった. 以上より, 吸啜運動時において乳児の舌および顎運動と口腔周囲筋の活動と吸引圧との間には一定のパターンで協調していることが示唆された.
ISSN:1340-9085
1883-986X
DOI:10.7144/sgf.2.19