臨床助産師の経験する倫理的問題の特徴―東海4県の調査結果より

本研究は、周産期医療に携わる助産師の倫理的問題を明らかにすることを目的に、助産師経験2年目以上の助産師814名に倫理的要素を含む14の場面を提示し、もっとも印象深い経験の事例の記述を求めた。収集された209事例を質的に分析し、倫理的問題と倫理的問題ではない問題の分類を行い、さらに倫理的問題の特徴を明らかにした。倫理的問題の分類結果は、命をどう捉えるかに関する問題が3割、医療者としての善行、患者の自律性に関する問題がそれぞれ2割を占めていた。これらは、正常分娩において医師と同等の責任範囲のある助産師の専門性から、患者の意向を無視した医療、医師の都合による分娩方針、母子の命の優先という倫理的問題の...

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Published in日本看護倫理学会誌 Vol. 3; no. 1; pp. 28 - 35
Main Authors 杉浦, 和子, 太田, 勝正, 鈴木, 千智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護倫理学会 10.02.2011
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Summary:本研究は、周産期医療に携わる助産師の倫理的問題を明らかにすることを目的に、助産師経験2年目以上の助産師814名に倫理的要素を含む14の場面を提示し、もっとも印象深い経験の事例の記述を求めた。収集された209事例を質的に分析し、倫理的問題と倫理的問題ではない問題の分類を行い、さらに倫理的問題の特徴を明らかにした。倫理的問題の分類結果は、命をどう捉えるかに関する問題が3割、医療者としての善行、患者の自律性に関する問題がそれぞれ2割を占めていた。これらは、正常分娩において医師と同等の責任範囲のある助産師の専門性から、患者の意向を無視した医療、医師の都合による分娩方針、母子の命の優先という倫理的問題の特徴がみられた。
ISSN:2434-7361
DOI:10.32275/jjne.3.1_28