システムとしての「職場」における障害者雇用の効用 障害者雇用を通じたディーセントワークの実現

本稿は,障害者雇用の進むべき方向性の再考,実証を目的とする。 障害者雇用政策は,2000年前後から,関連法・制度改正を重ね,雇用の量的拡大を図ってきた。2013年の法改正では,障害者権利条約に伴い,質的にも拡充を図っており,障害者雇用政策は,大きな転換点にあるが,質の保証は,十分とはいえない。なぜなら,障害者雇用の量と質を拡充するには,当該障害者のみならず,すべての人に有益な社会,共生社会を目指す必要がある。 筆者は,障害者雇用がディーセントワークの実現につながると考え,職場における効用を調査した。結果以下3点が明確になった。第1に,障害者雇用の効用は,仕事の役割分担から,新規事業開拓までさま...

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Published in社会政策 Vol. 8; no. 3; pp. 92 - 105
Main Author 江本, 純子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社会政策学会 10.03.2017
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ISSN1883-1850
2433-2984
DOI10.24533/spls.8.3_92

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Summary:本稿は,障害者雇用の進むべき方向性の再考,実証を目的とする。 障害者雇用政策は,2000年前後から,関連法・制度改正を重ね,雇用の量的拡大を図ってきた。2013年の法改正では,障害者権利条約に伴い,質的にも拡充を図っており,障害者雇用政策は,大きな転換点にあるが,質の保証は,十分とはいえない。なぜなら,障害者雇用の量と質を拡充するには,当該障害者のみならず,すべての人に有益な社会,共生社会を目指す必要がある。 筆者は,障害者雇用がディーセントワークの実現につながると考え,職場における効用を調査した。結果以下3点が明確になった。第1に,障害者雇用の効用は,仕事の役割分担から,新規事業開拓までさまざまある,第2に,効用をもたらすためには,支援機関・制度の活用と障害者雇用に関する発想転換が重要である。第3に,障害者雇用促進には,個人から政策レベルまで一貫した制度が必要である。本稿は,この調査結果をもとに報告する。
ISSN:1883-1850
2433-2984
DOI:10.24533/spls.8.3_92