換気チューブ留置後の含気腔容積の変化 (第1報) ティンパノメトリーによるfollow up
中耳の含気腔容積は滲出性中耳炎の経過をみる上で重要な因子のひとつと思われる。そこで中耳換気チューブ留置後の中耳含気腔容積の変化を, ティンパノメトリーを用いて測定した。21症例 (35耳) において術後1日目, 1週目, 1か月目, その後1か月ごとに測定を行なった。容積の急速な増加は1か月以内で観察され, その後はゆっくりと増大した。術後6か月目における中耳腔容積は, かなりのばらつきがあり, 最も大きいものは10cc以上で, 最小は1cc以下であった。チューブ留置6か月後でも容積が1ml以下のものは5耳であった。それらの症例の乳突洞は, 軟部組織陰影が充満していることがCTスキャンにより確...
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Published in | 臨床耳科 Vol. 15; no. 1; pp. 57 - 61 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
日本耳科学会
30.04.1988
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ISSN | 1884-5800 |
DOI | 10.11289/otoljpn1974.15.57 |
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Summary: | 中耳の含気腔容積は滲出性中耳炎の経過をみる上で重要な因子のひとつと思われる。そこで中耳換気チューブ留置後の中耳含気腔容積の変化を, ティンパノメトリーを用いて測定した。21症例 (35耳) において術後1日目, 1週目, 1か月目, その後1か月ごとに測定を行なった。容積の急速な増加は1か月以内で観察され, その後はゆっくりと増大した。術後6か月目における中耳腔容積は, かなりのばらつきがあり, 最も大きいものは10cc以上で, 最小は1cc以下であった。チューブ留置6か月後でも容積が1ml以下のものは5耳であった。それらの症例の乳突洞は, 軟部組織陰影が充満していることがCTスキャンにより確認された。またティンパノメトリーによって測定された中耳腔容積の大きさは, CTスキャン上の含気腔の程度とよく相関していた。ティンパノメトリーを用いた測定は, チューブ留置後の含気腔測定には, 簡便で安定した方法と思われる。 |
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ISSN: | 1884-5800 |
DOI: | 10.11289/otoljpn1974.15.57 |