Wallenberg症候群を呈したpseudoxanthoma elasticumの1例 本邦報告例の文献的考察

弾力線維性仮性黄色腫 (PXE) は皮膚症状, 眼症状, 全身血管系症状を3主徴とする遺伝性疾患である。我々はWallenberg症候群を呈したPXEの1例を経験した.症例は38歳の男性で昭和52年脳梗塞に罹患し, 昭和53年6月再び脳梗塞を起こし本院に入院した.入院時, Wallenberg症候群を呈し, 脳血管写にて両側前下小脳動脈, 右後下小脳動脈は造影されなかった.皮膚生検によりPXEと診断し, 脳幹梗塞はPXEに起因するものと推定した.本邦で最初にPXEの中枢神経症状合併例が報告された1957年以後の報告例230例を検討し, 中枢神経症状合併例を23例10%に認めた.若年者に多く,...

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Published in脳卒中 Vol. 2; no. 3; pp. 262 - 268
Main Authors 清水, 保孝, 小林, 祥泰, 古橋, 紀久, 神田, 直, 田崎, 義昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.09.1980
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Summary:弾力線維性仮性黄色腫 (PXE) は皮膚症状, 眼症状, 全身血管系症状を3主徴とする遺伝性疾患である。我々はWallenberg症候群を呈したPXEの1例を経験した.症例は38歳の男性で昭和52年脳梗塞に罹患し, 昭和53年6月再び脳梗塞を起こし本院に入院した.入院時, Wallenberg症候群を呈し, 脳血管写にて両側前下小脳動脈, 右後下小脳動脈は造影されなかった.皮膚生検によりPXEと診断し, 脳幹梗塞はPXEに起因するものと推定した.本邦で最初にPXEの中枢神経症状合併例が報告された1957年以後の報告例230例を検討し, 中枢神経症状合併例を23例10%に認めた.若年者に多く, 中枢神経症状は極めて多彩で, 脳血管写では内頚動脈病変を認めるものが多かった.出血性病変を確認したものはなく, 梗塞性病変が多かった.原因不明の若年性脳血管障害をみた場合, 本症を愈頭におき, 皮膚症状, 眼症状に注意を払うべきであることを強調した.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.2.262