四塩化炭素肝障害に対する抗酸化性物質(α-tocopherol acetate)の効果について I-肝組織および血液化学的検査

四塩化炭素肝障害(以下CCl4肝障害と略す)ではマイクロゾーマル分画の脂質の酸化状態で生ずるMalonyl-di-aldehyde(以下MDAと略す)が脂肪変性の原因となると報告されている.抗酸化剤はCCl4肝障害の防禦因子となりえ肝細胞のMDAの産生を抑制しうると考えた.本研究は組織学的,検査学的面より,α-tocopherol acetate(以下VEと略す)の予防的な役割について検索した.CCl4肝障害の急性期で,VEを4週投与すると,肝脂肪変性は軽度で,GOT,GPT,Albuminに対して,有意な効果を示し,恐らく外因子に影響されるコレステロールの上昇をみとめた.これらの結果より,V...

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Published in肝臓 Vol. 16; no. 2; pp. 87 - 94
Main Authors 谷本, 幸三, 津田, 忠昭, 山路, 功, 花野, 靖久, 中山, 伊智郎, 上江洲, 朝洋, 船迫, 真人, 太田, 喜一郎, 泉, 良治, 奥, 浩子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.02.1975
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.16.87

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Summary:四塩化炭素肝障害(以下CCl4肝障害と略す)ではマイクロゾーマル分画の脂質の酸化状態で生ずるMalonyl-di-aldehyde(以下MDAと略す)が脂肪変性の原因となると報告されている.抗酸化剤はCCl4肝障害の防禦因子となりえ肝細胞のMDAの産生を抑制しうると考えた.本研究は組織学的,検査学的面より,α-tocopherol acetate(以下VEと略す)の予防的な役割について検索した.CCl4肝障害の急性期で,VEを4週投与すると,肝脂肪変性は軽度で,GOT,GPT,Albuminに対して,有意な効果を示し,恐らく外因子に影響されるコレステロールの上昇をみとめた.これらの結果より,VEは予防的因子と考えた.CCl4肝障害の慢性期ではVEの防御的な結果を見出しえなかった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.16.87