補助心臓の心補助効果に関する心力学的研究(慢性動物実験による左室仕事量の検討)

長期にわたる補助心臓の心補助効果を力学的に検討するため、これまで急性動物実験で使用してきた超音波変位計による左室変位の長期間測定の可能性を確かめるとともに、健常心動物を用いて補助心臓長期駆動の影響を検討した。超音波センサで左室内径と心筋長、壁厚を測定し、左室内容積、局所心筋面積、左室全体および局所心筋のなす外的機械的仕事量を計算した。超音波センサは1ヵ月間問題なく動作し、急性実験と同じ実験、解析法が慢性実験でも使えることがわかった。ここで取り上げた左房脱血方式の補助心臓は拡張末期左室内容積を減少させ、また仕事量も減少させた。左室壁厚は一ヵ月間変化せず、左室容積および局所心筋面積は経時的に漸減し...

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Published in人工臓器 Vol. 16; no. 1; pp. 93 - 96
Main Authors 中村, 孝夫, 林紘, 三郎, 関, 淳二, 中谷, 武嗣, 野田, 裕幸, 福田, 幸人, 高野, 久輝, 阿久津, 哲造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.02.1987
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Summary:長期にわたる補助心臓の心補助効果を力学的に検討するため、これまで急性動物実験で使用してきた超音波変位計による左室変位の長期間測定の可能性を確かめるとともに、健常心動物を用いて補助心臓長期駆動の影響を検討した。超音波センサで左室内径と心筋長、壁厚を測定し、左室内容積、局所心筋面積、左室全体および局所心筋のなす外的機械的仕事量を計算した。超音波センサは1ヵ月間問題なく動作し、急性実験と同じ実験、解析法が慢性実験でも使えることがわかった。ここで取り上げた左房脱血方式の補助心臓は拡張末期左室内容積を減少させ、また仕事量も減少させた。左室壁厚は一ヵ月間変化せず、左室容積および局所心筋面積は経時的に漸減し、左室全体および局所心筋のなす仕事量は血行動態を反映して増減した。局所心筋仕事量は漸増傾向も示した。今後は不全心モデルを用いた慢性動物実験で、心不全からの補助心臓駆動による心機能回復過程の解析を心力学的立場から進めていく予定である。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.16.93