ケア実践者が認識する介護老人保健施設における認知症高齢者の「拒薬・拒食・拒絶」の現状

本研究の目的は,ケア実践者が認識する認知症高齢者の「拒薬・拒食・拒絶」の現状を明らかにすることである.介護老人保健施設の看護職と介護職を対象とし,質問紙調査により得られたデータを質的に分析した,その結果,「拒薬・拒食・拒絶」の現状として,両職種とも〈食べることに対する関心の低下〉がもっとも多く,さまざまな事由によって食べることがむずかしい現状が明らかになった.よい反応を得られたケアは,職種による方法の違いがあり,看護職では〈物的環境を整える〉ことが多く,〈人的環境を整える〉ことは介護職に多くみられた.「拒薬・拒食・拒絶」は,認知症高齢者の意思の表れであり,行動は拒否という形であるが,そのなかに...

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Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 18; no. 1; pp. 74 - 81
Main Authors 小木曽 加奈子, 平澤 泰子, 安藤 邑惠, 佐藤 八千子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 30.11.2013
一般社団法人 日本老年看護学会
Japan Academy of Gerontological Nursing
Subjects
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ISSN1346-9665
2432-0811
DOI10.20696/jagn.18.1_74

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Summary:本研究の目的は,ケア実践者が認識する認知症高齢者の「拒薬・拒食・拒絶」の現状を明らかにすることである.介護老人保健施設の看護職と介護職を対象とし,質問紙調査により得られたデータを質的に分析した,その結果,「拒薬・拒食・拒絶」の現状として,両職種とも〈食べることに対する関心の低下〉がもっとも多く,さまざまな事由によって食べることがむずかしい現状が明らかになった.よい反応を得られたケアは,職種による方法の違いがあり,看護職では〈物的環境を整える〉ことが多く,〈人的環境を整える〉ことは介護職に多くみられた.「拒薬・拒食・拒絶」は,認知症高齢者の意思の表れであり,行動は拒否という形であるが,そのなかにはさまざまな思いが包含されている.認知症だからとひとくくりに考えるのではなく,1人ひとりの思いを大切にかかわっていくことが,「拒薬・拒食・拒絶」の現状を少しでも和らげるケアにつながると考える.
Bibliography:資料
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.18.1_74