看護職の介護支援専門員が認識する高齢者虐待事例ケアマネジメントへの困難と対処

目的は看護職の介護支援専門員が認識する高齢者虐待事例のケアマネジメントにおける困難や対処を明らかにすることである.調査は居宅介護支援事業所の介護支援専門員18名を対象に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した.看護職の介護支援専門員は,【虐待の核心に触れられない】,【虐待者のバリアに気持ちが萎える】という状況であったが,【被虐待高齢者の尊厳を回復する】という前向きな意識があった.一方,虐待者が介護者であることから【虐待者が受け入れるプランにならざるをえない】が,【サービス調整で被虐待高齢者の命を守る】と認識していた.【介護者を虐待者と認めることへの抵抗】があり,虐待事例の【家族関係の調整には深...

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Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 14; no. 2; pp. 60 - 67
Main Authors 表 志津子, 佐伯 和子, 石原 多佳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 15.05.2010
一般社団法人 日本老年看護学会
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Summary:目的は看護職の介護支援専門員が認識する高齢者虐待事例のケアマネジメントにおける困難や対処を明らかにすることである.調査は居宅介護支援事業所の介護支援専門員18名を対象に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した.看護職の介護支援専門員は,【虐待の核心に触れられない】,【虐待者のバリアに気持ちが萎える】という状況であったが,【被虐待高齢者の尊厳を回復する】という前向きな意識があった.一方,虐待者が介護者であることから【虐待者が受け入れるプランにならざるをえない】が,【サービス調整で被虐待高齢者の命を守る】と認識していた.【介護者を虐待者と認めることへの抵抗】があり,虐待事例の【家族関係の調整には深入りできない】という認識があった.しかし,【虐待者とのか細い関係を維持しなければならない】が,状況を改善するために【虐待者の認識変容を試みる】,【看護判断による介入時期を見極める】という対応への認識があった.看護職の介護支援専門員が虐待チームの中で協働することにより,看護の機能を用いて医療を切り口とした介入の可能性が広がることが示唆された.
Bibliography:研究ノート
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.14.2_60