抑うつを伴う老人保健施設入所者に対するライフレビューの効果

老年期は,さまざまな心身の変化や社会における位置付けの変化に直面しながら,自分の生涯を統合的に受容していくことが重要である.しかし老年期は,多くの喪失を伴い,うつ病や神経症になりやすい.特にさまざまな理由により住み慣れた自宅や地域から離れ,施設に入所し療養生活を送る高齢者にとって心理的援助は重要である.本研究では,施設に入所し認知障害のない抑うつを伴う高齢者7名に対してHaightの構造的ライフレビューを実施した.構造的ライフレビューにより高齢者は,時間の経過とともに「現在の悲しみ」,「想起」,「葛藤」,「人生の再評価」の過程を辿り,老人用うつスケールが改善し,その効果を明らかにすることができ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 9; no. 2; pp. 77 - 84
Main Authors 古村 美津代, 中島 洋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 15.03.2005
一般社団法人 日本老年看護学会
Japan Academy of Gerontological Nursing
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1346-9665
2432-0811
DOI10.20696/jagn.9.2_77

Cover

More Information
Summary:老年期は,さまざまな心身の変化や社会における位置付けの変化に直面しながら,自分の生涯を統合的に受容していくことが重要である.しかし老年期は,多くの喪失を伴い,うつ病や神経症になりやすい.特にさまざまな理由により住み慣れた自宅や地域から離れ,施設に入所し療養生活を送る高齢者にとって心理的援助は重要である.本研究では,施設に入所し認知障害のない抑うつを伴う高齢者7名に対してHaightの構造的ライフレビューを実施した.構造的ライフレビューにより高齢者は,時間の経過とともに「現在の悲しみ」,「想起」,「葛藤」,「人生の再評価」の過程を辿り,老人用うつスケールが改善し,その効果を明らかにすることができた.また7名中2名は,高齢者多元観察尺度においても効果を認めた.ライフレビューを通し面接者は,その人が生きてきた人生経験や価値観を理解することができ,対象者に対する尊敬の気持ちをもつことができた.
Bibliography:研究ノート
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.9.2_77