がん患者のACPにおける看護支援の構成要素とその影響要因

要旨 本研究の目的は,がん患者のACPにおける看護支援の構成要素とその影響要因を明らかにすることである.ACPの概念分析と面接調査の結果をもとに,個人属性9項目,ACPの看護支援55項目,ACPの認識11項目からなる自記式質問紙を作成した.無作為抽出した全国の病院,訪問看護事業所147施設で,経験年数5年以上の看護師に質問紙を配布し,回収は対象者からの個別投函とした.2018年6月1日から9月30日に質問紙1,354部を配付し,798部の回答が得られ(回収率58.9%),780部を有効回答とした(有効回答率97.7%).データは因子分析と重回帰分析を行った. 看護支援の構成要素として【対話に基...

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Published in日本がん看護学会誌 Vol. 35; no. 1; pp. 70 - 79
Main Authors 田代 真理, 藤田 佐和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本がん看護学会 02.04.2021
一般社団法人 日本がん看護学会
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ISSN0914-6423
2189-7565
DOI10.18906/jjscn.35_70_tashiro

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Summary:要旨 本研究の目的は,がん患者のACPにおける看護支援の構成要素とその影響要因を明らかにすることである.ACPの概念分析と面接調査の結果をもとに,個人属性9項目,ACPの看護支援55項目,ACPの認識11項目からなる自記式質問紙を作成した.無作為抽出した全国の病院,訪問看護事業所147施設で,経験年数5年以上の看護師に質問紙を配布し,回収は対象者からの個別投函とした.2018年6月1日から9月30日に質問紙1,354部を配付し,798部の回答が得られ(回収率58.9%),780部を有効回答とした(有効回答率97.7%).データは因子分析と重回帰分析を行った. 看護支援の構成要素として【対話に基づく確かな情報共有】【患者の今後の希望の探求】【終末期に備えた取り決め】【患者の意向の擁護】【患者の生き方の理解】【ケアへの患者の価値観の反映】【継続的な取り組み】が抽出された.また,ACPの看護支援の影響要因として,今後の治療や意向について患者に繰り返し確認するのは当然であるという認識やACP研修受講回数,訪問看護事業所,ACPの体制整備などが正の影響を及ぼし,外来やACPの知識不足・コミュニケーション能力不足などが負の影響を及ぼしていることが示された. 本研究で抽出された7つの構成要素は,がん患者のACPへの看護実践における有用な指標になると考えられる.
Bibliography:原著
ISSN:0914-6423
2189-7565
DOI:10.18906/jjscn.35_70_tashiro