高齢者ケアにおける日常倫理に基づく援助技術

要旨 目的:高齢者ケアにおける日常倫理に基づく援助技術を明らかにする. 方法:老人看護を専門とする5名の看護師の,日常の看護実践の参加観察とインタビューにより収集したデータを,質的統合法(KJ法)を用いて質的に分析した. 結果:高齢者ケアにおける日常倫理に基づく援助技術は,高齢者ならびに高齢者ケアにおける信念と前提を基盤に,看護師の内省を中核として高齢者をとりまく全体からケアを導く技術である.その性質には,【人格ある人/当たり前の生活】【尊厳ある最後の時に関わる】【高齢者の能力は見方次第】【高齢者一人ひとりの個別性の理解と尊重】【ケアする側される側のもちつもたれつの充足関係】【状況における最善...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 30; no. 1; pp. 25 - 33
Main Authors 谷本 真理子, 黒田 久美子, 田所 良之, 高橋 良幸, 島田 広美, 正木 治恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 23.03.2010
公益社団法人 日本看護科学学会
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Summary:要旨 目的:高齢者ケアにおける日常倫理に基づく援助技術を明らかにする. 方法:老人看護を専門とする5名の看護師の,日常の看護実践の参加観察とインタビューにより収集したデータを,質的統合法(KJ法)を用いて質的に分析した. 結果:高齢者ケアにおける日常倫理に基づく援助技術は,高齢者ならびに高齢者ケアにおける信念と前提を基盤に,看護師の内省を中核として高齢者をとりまく全体からケアを導く技術である.その性質には,【人格ある人/当たり前の生活】【尊厳ある最後の時に関わる】【高齢者の能力は見方次第】【高齢者一人ひとりの個別性の理解と尊重】【ケアする側される側のもちつもたれつの充足関係】【状況における最善のケア】が取り出された. 結論:本研究結果は,高齢者の日常ケアにおける看護の専門性を明示し,専門技術としての習熟と洗練に向けて活用することができる.
Bibliography:研究報告
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.30.1_25