脊髄損傷患者の看護に関わる看護師の感情体験

要旨 目的:重度の脊髄損傷患者と関わる看護師の感情体験を明らかにすること. 方法:主に重度の脊髄損傷患者の看護に携わったときの感情体験について,看護師6名を対象に半構成のインタビューを実施し,質的帰納的に分析した. 結果と結論:脊髄損傷患者の看護に関わる看護師の感情として,【攻撃的な感情】【突き放した感情】【疲弊した感情】という否定的感情があり,これらの感情に揺らぎながらも対処行動として【物理的距離の調整】と【精神的距離の調整】をすることで,感情のバランスを保ち看護師としての職務を遂行していた.そして患者に【思いやる感情】を持ち,看護師は患者からの学びや自己の成長を感じながら【充実した感情】を...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 31; no. 2; pp. 60 - 68
Main Authors 加藤 隆子, 渡辺 尚子, 堀内 ふき
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 20.06.2011
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans.31.2_60

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Summary:要旨 目的:重度の脊髄損傷患者と関わる看護師の感情体験を明らかにすること. 方法:主に重度の脊髄損傷患者の看護に携わったときの感情体験について,看護師6名を対象に半構成のインタビューを実施し,質的帰納的に分析した. 結果と結論:脊髄損傷患者の看護に関わる看護師の感情として,【攻撃的な感情】【突き放した感情】【疲弊した感情】という否定的感情があり,これらの感情に揺らぎながらも対処行動として【物理的距離の調整】と【精神的距離の調整】をすることで,感情のバランスを保ち看護師としての職務を遂行していた.そして患者に【思いやる感情】を持ち,看護師は患者からの学びや自己の成長を感じながら【充実した感情】を体験していた. 否定的感情は,看護師の患者の自立への期待やその支えになりたいという思いと患者の状況との間の不調和が影響していた.また,脊髄損傷という疾患の特徴から看護師は主に情動中心型の対処行動を取る傾向があった.感情体験をスタッフ間で共有するだけではなく,その感情の意味を考え,実際の看護に生かしていく試みが必要である.
Bibliography:研究報告
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.31.2_60