家族性大腸腺腫症患者が子どもへ遺伝情報開示するまでの意思決定過程の構造

要旨 目的:本研究は,家族性大腸腺腫症罹患者が子どもの遺伝的リスクを認知し,遺伝情報開示に至るまでのプロセスを明確化することを目的とした. 方法:研究協力者8名を対象に,半構成的面接法を用いてデータ収集を行い,内容分析を行った. 結果:子どもに遺伝情報開示をするまでのプロセスとしては,【闘病生活にまつわる過去の体験】【遺伝的リスクを子どもに伝える親としての準備性】【遺伝情報開示に至るきっかけ】の3つのカテゴリーが抽出された.遺伝情報の伝え方としては,子どもに遺伝的リスクを伝える場合と,遺伝子検査の結果をもとに遺伝情報を伝える場合があった.発症前診断として子どもの遺伝子検査を受けることに関しては...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 28; no. 4; pp. 27 - 36
Main Author 川崎 優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 20.12.2008
公益社団法人 日本看護科学学会
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Summary:要旨 目的:本研究は,家族性大腸腺腫症罹患者が子どもの遺伝的リスクを認知し,遺伝情報開示に至るまでのプロセスを明確化することを目的とした. 方法:研究協力者8名を対象に,半構成的面接法を用いてデータ収集を行い,内容分析を行った. 結果:子どもに遺伝情報開示をするまでのプロセスとしては,【闘病生活にまつわる過去の体験】【遺伝的リスクを子どもに伝える親としての準備性】【遺伝情報開示に至るきっかけ】の3つのカテゴリーが抽出された.遺伝情報の伝え方としては,子どもに遺伝的リスクを伝える場合と,遺伝子検査の結果をもとに遺伝情報を伝える場合があった.発症前診断として子どもの遺伝子検査を受けることに関しては,子どもが意思確認のできる年齢にあるかどうかに応じて,施行の有無を決定していた. 結論:遺伝医療に携わる看護職は,家系員のがんを予防するという観点からの専門的価値を押しつけたり,遺伝子診断に関する情報提供をすることを重視するのではなく,子どもに遺伝情報開示をするまでのプロセスの中で,まずは現在患者が直面している問題を解決していく必要がある.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.28.4_27