子どもと大人の混合病棟における看護師の抱える困難さ

要旨 本研究は,子どもと大人の混合病棟で働く看護師が,子どもと大人への看護実践をどのような困難さを抱えながら行っているのか明らかにすることを目的に,民族看護学の方法に準じて行った.データ収集には,主要情報提供者である混合病棟で働く看護師7名への参加観察と面接,一般情報提供者14名に対する面接を用いた. 得られたデータを分析した結果,5つのテーマと1つの大テーマが抽出された.それらより,混合病棟で働く看護師は子どもへは看護師のペースでの看護を行い,大人へはその人のペースに合わせた看護をしていると感じていること,また,混合病棟を子どもの病棟と感じ,子どもと一緒の病棟に入院してもらっている大人に対し...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 24; no. 2; pp. 62 - 70
Main Author 草柳 浩子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 30.06.2004
公益社団法人 日本看護科学学会
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Summary:要旨 本研究は,子どもと大人の混合病棟で働く看護師が,子どもと大人への看護実践をどのような困難さを抱えながら行っているのか明らかにすることを目的に,民族看護学の方法に準じて行った.データ収集には,主要情報提供者である混合病棟で働く看護師7名への参加観察と面接,一般情報提供者14名に対する面接を用いた. 得られたデータを分析した結果,5つのテーマと1つの大テーマが抽出された.それらより,混合病棟で働く看護師は子どもへは看護師のペースでの看護を行い,大人へはその人のペースに合わせた看護をしていると感じていること,また,混合病棟を子どもの病棟と感じ,子どもと一緒の病棟に入院してもらっている大人に対し非常に気を遣っていること,さらに,混合病棟で行っている看護を深められず中途半端感をもったり,看護の専門性について模索したりしていることが明らかになった. 以上のことから,子どもを受け持つ看護師と大人を受け持つ看護師を一定期間ずつ分けることの検討や,子どもの看護や大人の看護に豊富な経験をもつ看護師の存在の必要性が示唆された.また,診療科を3つ程度に絞ることの検討や,混合病棟で働く看護師自身が,どのようなキャリアを目指しているのかを知る機会をもつことも必要であると示唆された.
Bibliography:研究報告
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans1981.24.2_62