診断後1年間にわたる頭頸部がんを経験する人々のクオリティ・オブ・ライフ

要旨 本研究は,診断後1年間にわたる頭頸部がんを経験する人々のQOLのありようを明らかにすることを目的とした. 初めて頭頸部がんに罹患した8名を研究参加者として,がん専門病院初診時から1年間にわたり,受け持ち看護師として看護を実践した.研究参加者と受け持ち看護師としての研究者との言語的・非言語的相互行為の記述資料を素材として,質的帰納的に,研究参加者一人ひとりのQOL,及び個別性を越えて浮かび上がったQOLのありようを記述した. 診断後1年間にわたる頭頸部がんを経験する人々のQOLは,その時そこでの,一人ひとりの【がんを完治できる確信】を核として,【がんの完治の優先性】,【生きる営みに寄せる実...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 23; no. 3; pp. 11 - 21
Main Author 花出 正美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 30.09.2003
公益社団法人 日本看護科学学会
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Summary:要旨 本研究は,診断後1年間にわたる頭頸部がんを経験する人々のQOLのありようを明らかにすることを目的とした. 初めて頭頸部がんに罹患した8名を研究参加者として,がん専門病院初診時から1年間にわたり,受け持ち看護師として看護を実践した.研究参加者と受け持ち看護師としての研究者との言語的・非言語的相互行為の記述資料を素材として,質的帰納的に,研究参加者一人ひとりのQOL,及び個別性を越えて浮かび上がったQOLのありようを記述した. 診断後1年間にわたる頭頸部がんを経験する人々のQOLは,その時そこでの,一人ひとりの【がんを完治できる確信】を核として,【がんの完治の優先性】,【生きる営みに寄せる実践的関心】,及び【自己のありようへの了解】に特徴づけられることが明らかになった. 看護職者は,看護実践を通して,時機を得てかつ継続的に,頭頸部がんを経験する一人ひとりの先述の4つのありように関するより深い対話ができる立場におり,一人ひとりとの対話に基づいてQOLのありようを理解し,その理解を看護実践に反映できると考えられた.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans1981.23.3_11