85歳以上で腎硬化症により血液透析を導入した超高齢者の生活と心情

抄録 本研究の目的は,85歳以上で腎硬化症により血液透析を導入した超高齢者の現在の生活と心情を,血液透析導入前との対比をもとに明らかにすることである.3人の超高齢者に半構造化面接を行い質的帰納的に分析し,7カテゴリーを得た.超高齢者は,血液透析導入後には健康状態が安定し【心身の安寧により生活を満喫している】生活を得ていた.その生活には,【無理のない自分なりの自己管理をしている】【周囲の人々と支え合いながら役割を果たしている】【有り難く恐縮して公的サポートを受ける】の3つが相互に関連し合い,血液透析導入後に生活の質が向上していた.さらに,【身体の衰えに対処する周囲と自分を残念に思う】【人生の終末...

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Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 25; no. 2; pp. 61 - 70
Main Authors 冨岡 幸子, 出貝 裕子, 大塚 眞理子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 01.01.2021
一般社団法人 日本老年看護学会
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ISSN1346-9665
2432-0811
DOI10.20696/jagn.25.2_61

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Summary:抄録 本研究の目的は,85歳以上で腎硬化症により血液透析を導入した超高齢者の現在の生活と心情を,血液透析導入前との対比をもとに明らかにすることである.3人の超高齢者に半構造化面接を行い質的帰納的に分析し,7カテゴリーを得た.超高齢者は,血液透析導入後には健康状態が安定し【心身の安寧により生活を満喫している】生活を得ていた.その生活には,【無理のない自分なりの自己管理をしている】【周囲の人々と支え合いながら役割を果たしている】【有り難く恐縮して公的サポートを受ける】の3つが相互に関連し合い,血液透析導入後に生活の質が向上していた.さらに,【身体の衰えに対処する周囲と自分を残念に思う】【人生の終末期に心揺れつつも希望を抱く】【変わらない自分がいる】という心情があった.これは,生活に変化があっても変わらない自分自身に対する心情であり,超高齢期にあっても自我を発達させていると示唆された.
Bibliography:原著
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.25.2_61