化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者が捉える口腔粘膜炎に伴う疼痛への看護支援

要旨 本研究の目的は,化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者が,口腔粘膜炎の疼痛に対する看護支援に対して,どのように捉えているのかを明らかにすることである.化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者5名に,30Gy照射後と治療終了後に半構成的面接を行い,疼痛緩和への看護支援をどのように捉えていたかについて,Krippendorffの内容分析を用いて質的帰納的に分析を行った. 1回目の面接では,患者は【増強する疼痛へ備えるための事前説明】と【疼痛を増強させないための看護師主導の疼痛緩和】を受け,【患者として実施すべき疼痛管理への理解】をもち,疼痛管理を継続していたが【看護支援を受けても難しい疼痛緩和】と...

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Published in日本がん看護学会誌 Vol. 32; no. 1; pp. 148 - 158
Main Authors 小池 万里子, 荒尾 晴惠, 田墨 惠子, 嘉戸 怜子, 山下 亮子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本がん看護学会 01.01.2018
一般社団法人 日本がん看護学会
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Summary:要旨 本研究の目的は,化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者が,口腔粘膜炎の疼痛に対する看護支援に対して,どのように捉えているのかを明らかにすることである.化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者5名に,30Gy照射後と治療終了後に半構成的面接を行い,疼痛緩和への看護支援をどのように捉えていたかについて,Krippendorffの内容分析を用いて質的帰納的に分析を行った. 1回目の面接では,患者は【増強する疼痛へ備えるための事前説明】と【疼痛を増強させないための看護師主導の疼痛緩和】を受け,【患者として実施すべき疼痛管理への理解】をもち,疼痛管理を継続していたが【看護支援を受けても難しい疼痛緩和】と捉えていた.2回目の面接では治療後半の時期について語ってもらったところ,引き続き【強い疼痛に対する看護師主導の疼痛緩和】が提供され,【目的をもち患者ができる範囲でケアを行うという認識】をもち疼痛管理を継続していたが,【看護支援を受けても難しい疼痛緩和】に直面し,【個別的な看護支援の不足】を捉えていた. 治療開始時から継続して看護師による口腔内や疼痛の観察が行われ,疼痛の増強に伴い鎮痛剤の調整が行われていたことから,対象者らは看護師主導の疼痛緩和が提供されていると捉えていた.これらは,麻薬性鎮痛剤の導入には効果的であったが,治療後半から増強する疼痛への緩和は難しい状況であった.そのため,看護師には患者の疼痛体験に寄り添い,より個別的で具体的な看護支援が求められていた.
Bibliography:原著
ISSN:0914-6423
2189-7565
DOI:10.18906/jjscn.32_koike_20180530