再発と治療を繰り返す肝がんサバイバーの療養生活における思いと療養行動

Ⅰ.はじめに 日本における原発性肝細胞がん(以下,肝がんとする)は,慢性肝炎から肝硬変・肝がんと進展し治療後の再発率も高い1)2).近年,肝がんの治療は,肝動脈塞栓術(transcatheter arterial chemoembolization:TACE)やラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation:RFA),外科的肝切除術,分子標的薬など3)選択肢が増えている.内科的治療は低侵襲で繰り返し可能であるが,再発部位や大きさ,肝機能により治療方針が決まる.再発に備え肝炎のコントロールや肝庇護のための飲酒の制限や禁煙,食生活の自己管理が重要である.従来は,高タンパク・高カロリ...

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Published in日本がん看護学会誌 Vol. 28; no. 2; pp. 23 - 30
Main Authors 浦 綾子, 奥園 夏美, 石橋 曜子, 高橋 博美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本がん看護学会 2014
一般社団法人 日本がん看護学会
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Summary:Ⅰ.はじめに 日本における原発性肝細胞がん(以下,肝がんとする)は,慢性肝炎から肝硬変・肝がんと進展し治療後の再発率も高い1)2).近年,肝がんの治療は,肝動脈塞栓術(transcatheter arterial chemoembolization:TACE)やラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation:RFA),外科的肝切除術,分子標的薬など3)選択肢が増えている.内科的治療は低侵襲で繰り返し可能であるが,再発部位や大きさ,肝機能により治療方針が決まる.再発に備え肝炎のコントロールや肝庇護のための飲酒の制限や禁煙,食生活の自己管理が重要である.従来は,高タンパク・高カロリーの栄養摂取や食後の「安静」が重視されたが,現在は急性の肝障害や慢性肝疾患の急性増悪以外では,適度な休息と運動,適量の食事が推奨され4)変化している.また,肝がんサバイバーの療養生活の長期化に伴い,療養行動の継続にはさまざまな不安や困難が予測される. 先行研究では,肝がん患者のセルフケア行動5)や闘病生活を継続する力6),疾病受容体験7)などが報告され,肝がんの疾病受容は比較的早期にできるが,療養行動には自己管理の曖昧さ8)が指摘されている.また,肝がんは治療法や奏効率,医療環境が改善してきていることから,悲観的ではない新たな環境で,肝がん患者をがんとともに生きるサバイバーシップの観点から捉え直す必要がある. したがって,本研究の目的は,再発と治療を繰り返す肝がんサバイバーの療養生活における思いと療養行動を明らかにし,看護の示唆を得ることとした.
Bibliography:資料
ISSN:0914-6423
2189-7565
DOI:10.18906/jjscn.2014-28-2-23