終末期がん患者を抱える家族の家族機能の特徴とその影響要因

要旨 本研究は,終末期がん患者を抱える家族の家族機能の特徴を終末期がん患者を含まない家族との比較を通して明らかにし,家族機能の影響要因を検討することである.分析対象は,終末期がん患者の家族46家族,比較群とした家族49家族である.家族機能を測定する尺度(FSHM),支援ネットワーク,家族属性についての質問紙調査を実施した.分析はMann.Whitney U検定や重回帰分析を用いた.その結果,1)終末期がん患者を抱える家族は比較群と比べ時間空間の共有,信頼に基づくきずなが高いことが示唆された.2)家族機能には,家族間コミュニケーションが影響を及ぼしていることが明らかとなった.下位尺度別にみると,...

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Published in日本がん看護学会誌 Vol. 27; no. 1; pp. 43 - 51
Main Authors 中橋 苗代, 小笠原 知枝, 吉岡 さおり, 伊藤 朗子, 池内 香織, 宮村 文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本がん看護学会 2013
一般社団法人 日本がん看護学会
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ISSN0914-6423
2189-7565
DOI10.18906/jjscn.2013-27-1-43

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Summary:要旨 本研究は,終末期がん患者を抱える家族の家族機能の特徴を終末期がん患者を含まない家族との比較を通して明らかにし,家族機能の影響要因を検討することである.分析対象は,終末期がん患者の家族46家族,比較群とした家族49家族である.家族機能を測定する尺度(FSHM),支援ネットワーク,家族属性についての質問紙調査を実施した.分析はMann.Whitney U検定や重回帰分析を用いた.その結果,1)終末期がん患者を抱える家族は比較群と比べ時間空間の共有,信頼に基づくきずなが高いことが示唆された.2)家族機能には,家族間コミュニケーションが影響を及ぼしていることが明らかとなった.下位尺度別にみると,信頼に基づくきずな,時間空間の共有には手段的ネットワーク,役割達成性には手段的ネットワーク・介護者数,環境への適応性には主介護者の性別が影響要因として示された.主介護者が男性の場合は,女性の場合に比べ環境への適応性が低いことが明らかとなった.以上より,終末期がん患者を抱える家族の家族機能を促進するためには,家族間のコミュニケーションが円滑に行われるような関わりの必要性が示唆された.
Bibliography:研究報告
ISSN:0914-6423
2189-7565
DOI:10.18906/jjscn.2013-27-1-43