がん看護におけるアウトカム基盤型教育に関する研究—即時応答システム導入による学習効果

I.緒言 日本がん看護学会(以下,「本学会」)では,がん看護実践の質向上に貢献するため,学術集会などの機会を通じてさまざまな専門性の高いがん看護実践スキルの獲得支援をねらい,研修を行ってきた.従来の研修は,アドバンスセミナーやエキスパートセミナーとして専門・認定看護師などが対象となることが多かったが,新規性の高いがん医療が急速に拡大しつつあるなか,がん患者の直接のケアを担う看護師に広く知識や技術を提供し,成果を出す研修が求められている.しかし,従来の研修では研修内容の理解度や,知識と臨床判断・行動が結びついているかなど,学習効果については評価が行われていなかった. そこで,第34回学術集会の教...

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Published in日本がん看護学会誌 Vol. 35; no. 1; pp. 223 - 229
Main Authors 菊内 由貴, 黒田 寿美恵, 佐藤 一樹, 柏木 夕香, 塩澤 綾, 井沢 知子, 中村 喜美子, 井関 千裕, 橋口 周子, 入江 佳子, 海津 未希子, 梅田 恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本がん看護学会 03.09.2021
一般社団法人 日本がん看護学会
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ISSN0914-6423
2189-7565
DOI10.18906/jjscn.35_223_kikuuchi

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Summary:I.緒言 日本がん看護学会(以下,「本学会」)では,がん看護実践の質向上に貢献するため,学術集会などの機会を通じてさまざまな専門性の高いがん看護実践スキルの獲得支援をねらい,研修を行ってきた.従来の研修は,アドバンスセミナーやエキスパートセミナーとして専門・認定看護師などが対象となることが多かったが,新規性の高いがん医療が急速に拡大しつつあるなか,がん患者の直接のケアを担う看護師に広く知識や技術を提供し,成果を出す研修が求められている.しかし,従来の研修では研修内容の理解度や,知識と臨床判断・行動が結びついているかなど,学習効果については評価が行われていなかった. そこで,第34回学術集会の教育・研究活動委員会企画セミナーにおいて,参加者の回答をリアルタイムに共有できるアプリケーションソフトウェア型システム(以下,「システム」)を用いた教育セミナーを試行した.システムの利用により,研修の事前・途中・事後に研修内容に関する理解度を確認するクイズを提示し,参加者の回答をリアルタイムに提示するなど,参加者との双方向のやり取りを行った.このような取り組みにより,学習効果を把握することが可能となり,参加者にとってより効果的・効率的・魅力的な教育の在り方についての検討が可能と考えられる.さらに今後,オンライン上での学習管理システム(Learning Management System,以下,「LMS」)の活用により,自由な時間や場所での学習教材の利用,テスト機能を用いた理解度の評価による自己課題の明確化など,学習者の背景に合わせて学ぶことのできる教育研修体制の整備に取り組むにあたり,本セミナーによる学習効果の評価が基盤資料として有用になると考えられる. 本研究の目的は,がん看護の教育セミナーへの即時応答システム導入による学習効果を評価すること,さらに今後の教育提供に対するニーズを把握することである.本研究の結果に基づき,本学会はより効果的な学習方法を提供するとともに,会員のニーズに即した教育環境を検討する.
Bibliography:委員会報告
ISSN:0914-6423
2189-7565
DOI:10.18906/jjscn.35_223_kikuuchi